初めての転職活動 – 法律事務所からインハウスへの転職

法務 転職

※今回は、転職経験のない法律事務所勤務(主に企業をクライアントとした)の弁護士の方が対象です。

初めての転職に関する前回記事に続き、今回は法律事務所からの転職編です。前回記事の内容は、弁護士の方にも関係があるので、よろしければ以下のリンクからご覧ください。
初めての転職活動 – 後悔しないために留意する点

また、まだインハウスへの転職活動をしていいものか迷っている方は、こちらをご参照ください。
弁護士の二択 – 法律事務所 or インハウス

弁護士として初めて働いた法律事務所からの転職

私の担当している法務、コンプライアンス、リスクマネジメントの転職サポートの中でも中核をなす分野の一つです。
今回は需要の多いインハウスへの転職を想定し、転職活動に際して予め押さえておくべきポイントを解説していきます。

法律事務所からインハウスへの転職

四大法律事務所など、特に企業を相手にした法律事務所に在籍する弁護士の転職先は、インハウスが過半数を占めています。
そこで以下に、法律事務所からインハウスへ初めての転職をする際に気をつけるべき点を年齢給与分野留学の四つに分け、ご紹介していきます。

年齢

法律事務所からインハウスへの転職は若年化傾向にあり、現時点では、31歳あたりが転職平均年齢と言われています。主な原因は、以下の三つです。

  • 大手法律事務所でパートナーに昇格できる可能性が下がったこと
  • インハウスロイヤーが増え、企業が”既にインハウスの人”を採用しやすくなったため、シニアになってからでは法律事務所からインハウスに移りづらくなったこと
  • インハウスロイヤーというキャリアが弁護士の一般的なキャリアの一つとして認知されてきて、キャリアの比較的
    早い段階でそれを選択する弁護士が増えたこと

例外はあれど、30代中盤以降の法律事務所での経験をしっかりと評価してくれる企業は少ないです。

給与

ご存知の方がほとんどかと思いますが、大手法律事務所の弁護士の場合、インハウスに移ると通常収入が落ちます。覚悟をしていたつもりでも、いざオファー内容を見ると自分の経験が軽んじられた気になり、感情面で内定受諾を踏み切れなくなるというケースも見てきました。
しかし、“もっと給与の高いポジションの募集が出ないかもう少し見てみる”場合は、前述の年齢とも相談しながら決断タイミングを考えないと、5年間“もっと給与の高いポジション”を探し続けた挙句、5年前と同じ待遇の内定しか出ないという例も少なくありません。
また、高待遇のインハウスポジション=シニアなポジションは、既にインハウスの方から採用することが多いため、待ってても機会に恵まれない可能性が高いです。

インハウスロイヤーになることは弁護士としてのキャリアオプションの一つに過ぎませんが、もし”いつかはインハウスへ”と思っているのであれば、どこかで思い切った決断をする必要があります。

分野

インハウスへの転職を検討する際、今まで事務所でやってきた専門分野に拘る必要はありません。自分の専門分野以外のポジションに転職し、活躍されている方が大勢いらっしゃいます。

例を挙げると、

  • 四大事務所でシニアアソシエイトになるまで一貫して金融分野を担当してきて、初めてのインハウスで大手欧州系製薬企業の副部長格ポジションへ転職
  • 大手米系法律事務所でシニアアソシエイトになるまでキャピタルマーケットを担当してきて、初めてのインハウスで通信系業界の法務マネージャーポジションへ転職

こうした転職は、今までの経験が無駄になったわけではありません。分野が違うとはいえ、法務全般の勘所などを評価されての内定です。初めての転職に限りませんが、転職時に今までの経験を100%活かせるポジションを求めるなら、今のポジションから動かないのが無難です。今までの経験のいくらかを活かしながら、新しいチャレンジをし、自分の目標としているゴールに近づけていくのが転職の肝になります。

留学

留学制度がある事務所では、帰国後に転職を希望される方が非常に多いです。
留学先で忙しい仕事から離れ、普段と異なる環境で様々なバックグラウンドを持った友人ができて… 欧米を始め、日本以上にインハウスロイヤーのキャリアが一般的な国出身の学友からの刺激もあり、インハウスに目を向ける。

こうして留学中にインハウスへの転職を考えられたなら、帰国後仕事が忙しくなる前に、レジュメの準備、情報収集などを始めておくことをお勧めします。
私は、留学中の弁護士と日本のジョブマーケットについてキャッチアップコールを設けることがよくあります。このように時間の余裕がある留学中に少しずつ準備を始められている方は、帰国後多忙の中でも希望のポジションへの転職を成功させやすいです。

必ずしもリクルーティング企業と話した方が良いと言っているわけではありませんが、それも一つの手段です。今転職活動をしていなくても長期での相談に乗ってくれるリクルーターは必ずいます。

弁護士の皆さんはお忙しいので、よろしえければ以下の記事もご参照ください。多忙でも最低限できる転職活動の第一歩についてです。

忙しい方のための転職活動の始め方【最低限必要なことのみ解説】

初めての転職は誰でも不安ですが、法律事務所から企業だと勝手が違うので尚更です。
今回の記事が何かのお役に立てば幸いです。