法務・コンプライアンス・リスク最新ジョブマーケット – 2021年2月関東

キャリア 法務 転職

緊急事態宣言下で気になる法務・コンプライアンス・リスクの現在のジョブマーケットについてご紹介します。

<2021年2月6日追記> 先日10都道府県での緊急事態宣言園長が発表されましたが、現在のところジョブマーケットに影響は見られず、現時点では以下の内容から変わらないものとして問題ありません。

  1. 概括
  2. 法務、コンプライアンス、リスク共通
  3. 法務
  4. コンプライアンス
  5. リスク

概括

関東1都3県は、今月13日より緊急事態宣言に入っているものの、昨年の緊急事態宣言下(参照)と異なり、採用の勢いは衰えていません。コロナ前平時の採用数を100%とすると、約90%はあります。これは昨年の緊急事態宣言のように前例のない、様子見せざるを得ない状況とは異なり、ニューノーマルに対応せざるを得ないという諦念もあると思います。また、日本の元気なITスタートアップにはコロナ禍でもますます勢いをつけているところも少なくなく、そうした企業の採用が採用件数の安定に貢献していることも見逃せません。

以下に法務、コンプライアンス、リスクの各分野についてそれぞれ解説します。

法務、コンプライアンス、リスク共通

まず上記3分野共通の内容についてご説明します。
はじめに業界ごとの採用数ですが、IT (Fin-tech含む)>製薬>その他>>>小売、旅行関連です。これは法務、コンプライアンス、リスク以外の採用でも似たり寄ったりなのではないかと思います。特にITは、日本のスタートアップの採用が多く、コロナの影響は関係なく、過去5年以上どんどん多くなってきています。

次に、募集されている職階です。シニアな方には残念なことに、昨年以来、ジュニア〜ミドルレベルを求める採用が目立ち、長く経験を積まれたスペシャリストの方達は転職活動に苦労されている方が少なくありません。現在も部長レベルが転職などで抜けた後、ポストを空席のままにしたり、とりあえず部長代理/acting headなどを置いている会社が目立ちます。

最後に、求める人材の傾向です。法務・コンプライアンス・リスクのスキル、コミュニケーション能力、語学力などはコロナ前から変わりませんが、ITスタートアップの採用が増えていることから、テクノロジーに明るい方や小規模企業のスピードが速い環境に慣れている方への注目度が高まっています。
2016〜2017年あたりのスタートアップ採用が増えてきたけれど、まだ行きたがる方が少なかったころに勇気を持って移ったearly adaptorの方たちは今当時の投資のリターンを得ている格好です。

法務

法務採用は上記で述べたスタートアップ採用に加え、日系企業のジョブ型雇用へのシフトトレンドを受け”生え抜き法務社員”から外部雇用の”法務スペシャリスト(弁護士含む)”への入れ替え需要もあり、ジュニア〜ミドルレベルにおいてはかなり活況です。また、法律事務所での採用も中、大規模事務所に関してはコロナ前の数字×0.8程度の採用数があります。

これに加え、所謂”法務”以外にも法務人材を求めるポジションが増えてきています。以下にいくつか紹介いたします。

※以下ポジションはコンプライアンス人材も求めています。

  1. Forensic、Investigationなどの法律知識を駆使した業務 – コンサル企業、一般企業双方採用あり。
  2. 規制などの知識を利用してのGovernment Affairs、Regulatory Affairs業務 -IT企業に多く採用あり。
  3. 規制などの知識を利用してのコンサルティング業務 – 規模問わず広くコンサル企業で採用あり。弁護士が転職先として選ぶことも増えてきている。

コンプライアンス

専門職としてのコンプライアンスは、今まで金融と製薬&医療機器業界といった規制業種がほとんどだったのですが(採用数は大体金融8割、製薬&医療機器1割、その他1割であった)、2019年辺りからInformation SecurityなどのIT絡みのコンプライアンス採用が目立ってきました。現在の業界別採用数比率は、金融7割、IT1割、製薬&医療機器0.5割、その他0.5割位でしょうか。IT企業の採用でなくとも、テクノロジーへの理解はコンプライアンスを務める上で必須で、どの業界のコンプライアンス採用でも、ITに強い人材が転職市場を席巻しています。

それだけでなく、DXなどで企業の利用するソフトウェアの数が激増していることから、ソフトウェアライセンスに関するコンプライアアンス/監査の採用需要も目立ってきています。

また、コンプライアンス人材も上記にあるポジションから求められることが多いです。コンプライアンスの採用数の増加は法務以上で、今後も継続して注目のポジションとなっていくでしょう。

リスク

ERM(統合型リスク管理)、内部統制など、グローバル化、IT化に伴い、複雑になったリスク要因を全社的に管理するといったポジションが目立ちます。ERMポジション数の増加は非常に速く、数年前は生損保など、一部業界でのみ目立っていましたが、今は業界問わず採用を見掛けます。これはERMの役割が最近できたのではなく、ERM的なことはどの業界でもやっていたが、フレームークが確立されてきたことによって、”ちゃんとERMと呼ばれるようになった”というように見えます。
SNSなど、一般人も世界に向けて発信できる強力な拡声器を得たことからも、小さい失敗が大事になり得る現在、今まで以上に企業にリスク管理に注力する外圧が掛かるため、今後のリスクマネジメントの世界でのキャリアは明るいように思えます。

いかがでしたでしょうか。
緊急事態宣言下にも関わらずこのように採用があるのは、みなさんにとって良いニュースであるだけでなく、日本経済がある程度は元気な証拠、また、起業が苦手と思われがちな日本でスタートアップがどんどん出てくる土壌ができてきたことを示すのではないでしょうか。
ざっくりとした説明でしたので、もっと詳しくお知りになりたい方はページ下部のお問い合わせからご連絡ください。
今回のアップデートが何かの役に立てば幸いです。