【自分株急騰?】カウンターオファーの罠

キャリア 転職

希望の会社からの内定を受諾して、無事転職活動完了。
と、思いきや、現職に退職する旨を伝えたら、魅力的な提案(カウンターオファー)が…

あなたならどうするでしょうか。
私は「カウンターオファーは受けず、初志貫徹」をお勧めします。
なぜそう考えるかについて以下をご覧ください。
※今回は、拙記事の転職引き留めについていただいた質問から、より深堀りしております。
円滑な退職方法 – 退職は転職活動の意外な山場

  1. カウンターオファー
  2. カウンターオファーで提案されること
  3. 昇級
    昇格
    一時金
    希望の職種・仕事内容
    環境改善

  4. なぜカウンターオファーを断るべきか
  5. 所詮口約束
    昇給・昇格の前借り
    機会損失
    信用の失墜
    時間稼ぎの可能性
    自分ブランドに傷

  6. カウンターオファーにまつわるデータ

カウンターオファー

聞き慣れない方もいると思いますが、転職の文脈で言うカウンターオファーとは、あなたの退職を引き留めるためにされる提案を指します。昨今、人材不足が原因で、退職の意思を伝えた後、条件アップなどと引き換えに慰留されることが増えています。

カウンターオファーで提案されること

カウンターオファーで提案されることは、以下の通りです。複数を組み合わせて提案される場合もあります。

  • 昇給
  • 昇格
  • 一時金
  • 希望の職種・仕事内容
  • 環境改善

昇給

もっとも一般的なカウンターオファーは昇給(ベースサラリーアップ)です。

昇格

あなたが昇格直近の位置にいる場合に稀に提案されることがあります。当然昇給を伴います。

一時金

ボーナスなどに上乗せして、一回限り金銭が支払われます。

希望の職種・仕事内容

希望部署への移動、希望する仕事へのアサインなどをされることがあります。あなたの転職理由が、仕事内容への不満であった場合に提案されることが多いです。

環境改善

ワークライフバランスの改善、苦手な上司から離してくれるなどを提示されることもあります。

なぜカウンターオファーを断るべきか

冒頭で、カウンターオファーは受けるべきではないと書いた理由を説明します。

  • 所詮口約束
  • 昇給・昇格の前借り
  • 機会損失
  • 信用の失墜
  • 時間稼ぎの可能性
  • 自分ブランドに傷

所詮口約束

カウンターオファーは反故にされることも少なくありません。口約束をしておいて、後付けの理由でなかったことにされたという話をよく聞きます。

特に、希望の仕事へのアサインや、環境改善などの「フワッと」した約束の場合は注意が必要です。昇給や昇格なども書面で出されない限りは同様に気を付けるべきです。

昇給・昇格の前借り

昇給・昇格のカウンターオファーは、近い未来の将来の昇給・昇格の前借りであることがあります。黙っていても得られたはずのものの前借りでカウンターオファーを受けるのは、得策ではありません。

当然前借り分は得しますが、カウンターオファー受諾のリスクを考えると割に合わないと思います。

機会損失

カウンターオファーで好条件を出された時、なんで退職を口に出すまでその条件が提示されていなかったのか、という疑問が浮かぶのが普通です。

今までずっと「本来あなたに相応しい条件」が得られなかったという意味で、機会損失をしてきたとも考えられます。そうした環境では、今後も同様の損失が続いていくと考えるのが自然でしょう。

信用の失墜

一度退職を伝えたら、それを取りやめても、「またいつ退職を言い出すかわからない」「(カウンターオファーを受けたため)よりよい条件を出されたら、すぐに気が変わるかもしれない」といった印象を持たれます。

当然、こうしたイメージは、重要な仕事を任される可能性や、要職へ就くチャンスの低下につながります。

時間稼ぎの可能性

あなたの引き留めに成功したにも関わらず、後任を探し始めるケースもあります。前述の通り、「やめるのをやめた人」は、社内での信用が落ちます。このため、引き留めで時間稼ぎをして、後任を採用し、あなたはを(条件の落ちる)別の仕事に回されるという例もあります。

自分ブランドに傷

ここまでは「現職で損をする例」でしたが、最後に例外をご紹介します。個人的にはこれが一番怖いリスクです。

既に転職先企業の内定を受諾している場合、「カウンターオファーを受ける = 転職先との約束を反故にする」ことになってしまいます。
訴えられたりすることはありませんが、あなたのマーケットでの評判に傷がつきます。

当然あなたが応募した企業に、そのことを漏らされることはありません。しかし、内定受諾した後に覆したという事実は、相手の記憶に残ります。そして、応募先企業の人たちが将来転職し、その企業にあなたが応募するときには確実に不利になります。そんな偶然そうそう起こらない?いえ、想像以上に高い確率で起こります。

考えてみてもください。あなたの採用に関わる人は大勢います。人事、部門上司、他部門ステークホルダー、他。特に「ジョブ型」の人たちは数年毎に転職しますし、人事の採用担当に至っては、かなりのハイペースで仕事を変える傾向にあります。

あなたに悪い印象を持った人たちが、色々な会社に散らばっていくのです。
転職市場を俯瞰してみる仕事をする私としては、このリスクが最も恐ろしいと感じます。

カウンターオファーにまつわるデータ

私が転職するときにこんな話を聞いたことがあります。
「カウンターオファーを受けた人の80%は半年以内に結局転職している」

恥ずかしながら、当時の会社は私にカウンターオファーを出すことはありませんでしたので、杞憂でした。

しかし、転職業界に入り、同僚や同業他社の人たちと話し、また実際にカウンターオファーを受諾した人たちのその後を追うと、80%と6ヶ月という2つの数字にかなりの信憑性があると思うようになりました。実際にカウンターオファーを受諾した方から、すこし経って再度転職支援を依頼されることは驚くほど多いです。

カウンターオファー受諾が絶対に例外なく失敗するとは言いませんが、余程の理由がない限り、わざわざ取りに行く価値のあるリスクとは思えません。

新しいポジションに活躍の場を求めたのであれば、初志貫徹。カウンターオファーに対してお礼を述べた上で、礼儀正しく断るのが、最も賢明です。

人間は信じたいものを信じるので、カウンターオファーを出されると、その魅力に抗うのは難しいしょう。しかし、その裏にあるリスクをしっかりと理解した上で後悔のない対応をされることをお勧めします。