【要点を絞るのはNG】転職エージェントとのコミュニケーション
転職エージェントを使う場合、どのエージェントを使うかも重要ですが、どう使うかも重要です。いくら良いツール(エージェント)でも使い方を誤れば、宝の持ち腐れになります。
辞書のように厚い「エージェントのトリセツ」が書けるほど言いたいことはありますが、エージェント利用者が一番陥りがちな間違いは、情報共有のやり方、特に希望するポジションやキャリアパスの伝え方です。
自分の希望について話す
言うまでもなく、エージェントにあなたの希望を伝えることは非常に重要です。エージェントはあなたがキャリアゴールに向かって進むサポートをする存在。方角がわからないまま、目的地にお連れするのは不可能です。
しかし、現実には多くの人が希望の伝え方に失敗しています。それも、伝え方に心を砕いている人ほどその傾向にあります。最もありがちな失敗について次の章で見ていきましょう。
※ここで言う希望とは、給与だけではありません。あなたの価値観、次にやりたい仕事、長期的に到達したいポスト等、多岐に渡ります。
とりとめなく話そう
私達は、人に何かを伝えるときは「簡潔に、要領を得た」伝え方をするように教わります。これは間違いではありません。但し、仕事でのコミュニケーションや、相手があなたの話を聞いたり理解したりする義務がないとき(相手に聞いて「いただく」ような状況)に限っての話です。
相手があなたのことを知りたい、理解したい、という場合において、必要以上に話をまとめると、意図せず大切な部分が削られる可能性があります。
特にキャリア観、価値観についての話は、とりとめなく話しているときに重要な要素が見えます。あなたが「余計」と思って端折ろうとする内容の中に宝があるのです。
時々、キャリア志向を伺っていて「すみません。とりとめなく話してしまって」という人がいますが、これを聞くと私は嬉しくなります。
逆に理路整然ときれいに整頓された話を聞くと、その人について十分に理解できたか不安になります。
エージェントと話す意義
そもそもエージェントと話す意義とはなんでしょうか?「希望ポジションの紹介を受けられること」と答えた方は、まだ良いエージェントと出会っていないのかもしれません。
私が思うエージェントと話す意義とは「気づきを得ること」です。「転職先の紹介」は大前提ですが、それだけしかしない(できない)エージェントに存在意義はありません。単なる中抜きです。
エージェントの専門性を測るものは、どれだけ求人情報を持っているかだけではありません。多くのキャリア構築例、日々の仕事での悩みとその解決策、人に知られていないキャリアパス、あなたの希望する仕事に就くために必要なもの等の知識の集積です。
確かにエージェントは、転職先を紹介することで、収入を得ています。しかし、利用者としてそこだけを使うのはもったいないです。せっかくなのでエージェントの能力・バリューを使い倒す方がいいに決まっています。
それをするためにするべきことが、ノーカット版の「希望・志向」を伝えることなのです。
嘘も厳禁
自分の希望を伝える時にやりがちな「編集」は要約だけではありません。本心とは異なる情報を伝える人も中にはいらっしゃいます。
これを否定するつもりはありません。
初対面で信頼に足るかわからない相手(ましてや転職エージェントは、自分の利益のために動くという悪評もある)に開けっ広げに本心を話す気になれないのは、自然なことです。
また、相手(エージェント)からどう思われるかを気にして、自分の本当の気持ちを言えない場合もあるかと思います。代表的なのが、お金の話です。お金が最優先!という希望だったとして、相手が自分に持つ印象を心配して、社会性ややりがいなどの言葉でお茶を濁したりということもあるかと思います。
このような気持ちを持つのは人として当たり前なので、気にすることはありません。それよりもエージェントにあなたの「本当の希望」が伝わらない方が問題です。
そこで、同じエージェントと何度も話すことをお勧めします。相手を信頼できないから本心を話せなかったり誤解を生むと思っているのであれば、何度も話して相手が信頼できるか見極めていくのが効果的です。現に私がお手伝いする人の多くは転職活動を始める前から話し始めるため、自然に何度も話してからご転職活動のお手伝いを開始することになります。これには、できるだけ本心を転職活動に反映したいという狙いもあります。
もう一人のあなた
エージェントはキャリア形成に関して、あなたの分身としての役割を果たせるのが理想的です。多くのキャリア例を見て、さまざまな会社とコネクションを持ち、あなた自身が気づいていない可能性にも気づくことのできる、あなたの分身です。
分身である以上、あなたの希望・本心と完全に同期していることが望ましいでしょう。
どうか、エージェントと正しいコミュニケーションを取り、そのポテンシャルをフルに活かしてください。
それがあなたのキャリアの可能性を最大化することにつながるはずです。