中の人が書くエージェントの選び方 – キャリア形成に重要
前回外資企業への転職方法(前回記事にリンク)をご紹介したので、今回は転職に利用するエージェントの選び方をご紹介します。
結論から言ってしまうと、おすすめの転職エージェント企業はありません。なぜかと言うと、エージェントのクオリティは属人的で、会社単位では判断できないからです。
それぞれの会社に素晴らしいエージェントと最悪なエージェントが混在しています。運良く良いエージェントと出会えたら、会社が変わってもその人と連絡を取り続けて長期的にキャリアアドバイザーとして頼りにしていくのがおすすめです。
とは言え、これで終わってしまっては身も蓋もないので、エージェントの質を判断するポイントを紹介します。
まず、エージェント企業のタイプは大きく分けて二つに分けられます。
- 大手総合エージェント
100人かそれ以上のリクルーターが在籍し、専門分野に分かれてキャリアアドバイスやポジション紹介をしています。
一社の中に、製薬研究開発担当チーム、人事担当チーム、金融フロントオフィス担当チームなど複数あり、あなたの希望職種により、担当チームが決まります。
大手の強みは、ポジションを探すマンパワーの大きさとネームバリューです。想像してみてください。あなたがWebエンジニアだとして、BtoCのソフトウェアベンダーに転職したいとします。大手エージェントの場合、エンジニアポジション担当のチームだけでなく、他の、例えば人事ポジションを担当しているチームもBtoCのソフトウェアベンダーに人事のポジションを採用していないかと、営業をかけます。この時にたまたまWebエンジニアのポジションがあれば、社内のエンジニア担当チームに繋ぎます。このようなCross Sellingがあるため、大手はポジションを広く拾うのに長けています。また、大手の方が通常ネームバリューがあるため、採用を考えている会社からの依頼も来やすいです。もちろんネット検索でも上位表示される傾向にあり(「バイリンガル 採用」で検索したら弊社も検索結果の1ページ目に出ました)、これが紹介案件を多く持つことにつながります。
対して、大手の弱みは、一部の企業と契約が結べないことです。大手のエージェントは紹介フィーの割引についての柔軟性に欠けるため、採用の予算が潤沢でない会社とはお付き合いができず、当然ご紹介もできません。このため、そういった企業を希望されている方にとって大手のみを使うことはデメリットになります。 - 小規模のブティックファーム
数人から十数人ほどのリクルーターを擁し、”専門性”をウリにしています。金融専門や、法務専門、美容師専門など、ありとあらゆる業界、職種の専門エージェントが存在まします。多くのブティックファームのエージェントを知っていますが、大手に比べて個々人の専門性が高いかというとあまり差がないというのが正直なところです。結局大手でもブティックでも良い人は良く、ダメな人はダメで、優秀な人とそうでない人の割合もそんなに変わらないように思います。
ブティックの強み・弱みは、大手の強み・弱みの裏返しです。大手が拾えない(紹介フィーが合わないなどで)会社のポジションをカバーできますが、ポジションを見つけてくるマンパワーが弱いので、紹介案件が限られる傾向にあります。
このように、大手とブティックの強みと弱みはそれぞれ補い合う形なので、私は大手とブティック一社ずつ使うことをお勧めしています。
次に、肝心の良いエージェントの見分け方ですが、以下が良いエージェントのサインになると思います。
中長期のキャリアプランに気を配ってくれる
次の転職だけにフォーカスするのではなく、その転職が中長期的にあなたのキャリアにどのような影響を及ぼすかを考えてアドバイスをするのがエージェントの使命です。
仮にA、Bの二つの応募先があるとして、Aの方が魅力的に見えても、Bがあなたの長期目標への近道であるのなら、それを教えてくれるのが良いエージェントです。ダメなエージェントだと、紹介できてお金が入ればそれで良いので、あなたがAに行こうがBに行こうがどうでも良いと思って適当にアドバイスします。
具体性のある話をする
International、global、cross-border。中身のないエージェントは外資希望の転職者に対してこれらの形容詞を繰り返します。魅力的な言葉に聞こえますが、冷静になって相手がポジションについて具体的な話(そのポジションでどのような経験が積め、それが5年後のどのように活きる、など)をしているか見極めなければなりません。もしあなたのエージェントがどのポジションを紹介する時にこういった形容詞を連発しているのであれば要注意です。
あなたにとって耳障ざわりの悪いことも話す
良い印象を与えようと、あなたの耳に心地よいことばかり言うエージェントがいます。一時的に気分が良くなるかもしれませんが、あなたのキャリアにとってはマイナスです。例えばあなたが現在スタッフレベルだとして、マネージャーになりたいとします。本来スタッフ→シニアスタッフ→マネージャーという風に1つステップを挟めば数年で到達したところを、今すぐにマネージャーに挑戦できるよ、と煽てられてシニアスタッフのポジションに目を向けず、マネージャーポジションのみ応募して、落ち続けたとします。仕事内容が同じままだと、あるラインからは年齢が上がるほど市場価値が落ちるので、数年後あなたはシニアスタッフにもなれず、マネージャーにもなれず、キャリアはどん詰まりになります。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、こうした被害者は少なくありません。
紹介ポジションのデメリットも話す
紹介するポジションの良いところばかり話すエージェントは信用できません。欠点の少ないポジションもありますが、複数ポジション紹介をして全てメリットのみしか話さないとなると怪しいです。プロコンどちらも挙げた上であなたにとって最良と思われる選択を一緒に検討してくれるエージェントを探しましょう。
場合によっては転職を勧めない
あなたの話をよく聞いた上で、今は転職するべきでないと判断した場合、その旨アドバイスをするのがエージェントの本来の仕事です。。
私もそうですが、転職者は今の仕事に不満があると近視眼的になるものなので、そんな時に目先の利益に囚われず真摯に助言してくれるエージェントがいたら大切にしましょう。
以上がエージェント選びのアドバイスです。
参考にいくつか外資に強いエージェント会社を3つ紹介します。
いずれも上記の大手総合エージェントに該当する会社です。ブティックは細分化されて無数にあるので、紹介しきれません。もし興味があったらコメントなどで聞いてください。
なお、以下の会社の中にもそれぞれ良いエージェントと悪いエージェントがいます。
en world
https://www.enworld.com/
エン・ジャパンの子会社で、日系ですが外国人社員や帰国子女が多く、外資の案件をしっかりカバーできている印象です。競合他社の中でも比較的ノルマが甘めなので、社員の道徳心が保ちやすいのではないかと思います。
Michael Page
https://www.michaelpage.co.jp/
英国の企業です。歴史のある企業で、世界数十カ国のネットワークとブランドを活かして、日本国内でも多くの紹介企業とのお付き合いがあります。
JAC International
https://www.jac-international.jp/
JAC Recruitmentはご存知の方も多いと思いますが、こちらは外資にフォーカスしたJACです。日系企業ですが、大手外資エージェントからも多く転職しているので、外資企業を扱うノウハウを持った人が多いです。同業他社の中でも比較的のんびりした印象で、ポジションを見つけるための企業への営業力に懸念はありますが、個人的には信頼できる人が多めの会社だと思います。
今回の記事が、あなたの人生にプラスになるリクルーターとの出会いをお手伝いできたら幸いです。