スウェーデン人と日本酒に合うつまみを探す【枠に囚われずキャリアの差別化を考える】

キャリア

人と違うことがやりたい。

「キャリアの差別化」を求める人は年々増えています。
以前は、キャリアは基本的に一本道。何か仕事に就いたらその先は純粋な競争で、他者との差別化とは「他者より秀でること」と同義でした。
しかし、今は違います。「人と違うこと」でキャリア形成を図ることが可能になってきました。

とは言え、人と違えばなんでもいいというわけではありません。
多くの人が望む差別化とは「自分の強みや今までの経験を活かせて、価値観に沿っていて、諸条件の折り合いがついて、将来性があり、且つ他の人が選ばないもの」ではないでしょうか。残念ながら、そんなものが都合よく簡単に見つかることはないでしょう。夢追い人でないかぎり、さらに「現実的に実現できる可能性がある」という条件もつきます。

では、クリエイティブに自分の求める「差別化キャリア」の道を見つけるにはどのようにすればいいのでしょうか?確実な道はありませんが、チャンスを最大化する方法があります。
それは、人と話すこと、それもあなたのキャリアからできるだけ遠い人と話すことです。

Think outside the box

既存の考え方から脱却し思考するという意味の言葉です。マカーは、アップルの「Think different」に置き換えても差し支えありません。

人と違うキャリアを考えるためには、人と同じ考えから脱却することが必要です。
しかし、驚くほど多くの人がその逆の行動をしています。

素人意見

あなたはキャリア相談をするとき、誰にしていますか?
転職エージェントとして、9年に渡り年間3桁人とお話してきてわかったのは、ほとんどの人がキャリア相談を同業にしてきたことです。同じ勤め先の先輩、同輩、同じ業界・業種の友人など、自分と似た仕事をして、自分に近い物の見方をしている人たちです。

これ自体間違ったことではありません。自分の仕事をよく知っている人に相談することは必須です。しかし「箱の外」に視点を持つには、加えて自分と大きく異なる人の意見を聞くことも忘れてはいけません。

スウェーデン人が発見した日本酒のつまみ

一見ある分野の門外漢に見える相手から、極めて有用なヒントを得た例をご紹介します。最近私が実際に聞いた話です。キャリアの話と直接関係ありませんが、当記事の主旨に合致しています。

変わった酒屋

近所の酒屋さんでの話です。
そこの酒屋さんは非常にユニークで、取り扱っている日本酒が珍しいのもさることながら、瓶一本一本にそのお酒と相性の良い食べ物を書いた札が掛けられています。
それも、「魚料理」や、「焼き鳥」などといった大きいカテゴリーでなく、「カニクリームコロッケ」や「イワシのつみれ」など超ピンポイントで紹介している尖った店です。

こうしたことが受け、近所の人気店で既に「差別化」に成功している店ですが、ご店主は日々新たな研究に勤しんでいます。この間は、最近の推し蔵元の本醸造(吟醸でないところがまたシブい)に合う料理を探していました。

最近では酒屋として生き残っているだけでも差別化できていると言える

ピスタチオ味のマカロンと日本酒

そんな時、ひょんなことからご主人が近所のスウェーデン人と飲む機会がありました。そこで例の本醸造酒を出したところ、そのスウェーデン人男性は、マカロンと合わせ始めました。彼曰く、マカロンのピスタチオ味が合うとのことで、ご店主も半信半疑試してみたところ非常にマッチしたそうです。

ちなみにこのスウェーデン人男性は、日本酒マニアではありません。なんとなくたまたま持ち合わせたマカロンを食べながら飲んだだけです。

普通の日本酒マニアではあり得ない組み合わせで、最高の相性を見つけたスウェーデン人男性の引きもすごいですが、オープンな気持ちでピスタチオ味のマカロンとお気に入りの日本酒を合わせて、その相性を認めたご店主もすごいです。

さらなる差別化の成功

この「マリアージュ」をご店主は嬉々として私に語りました。
件の日本酒ボトルに「ピスタチオ味のマカロン」という札が付けられる日もそう遠くないでしょう。こうしてこの酒屋さんは、ますます他店との差別化が進み、今まで日本酒酒屋に通うことのなかったお客さんも取り込めることと思います。

もしご店主が、日本酒マニアとだけ話していたらどうでしょうか。このような発見はなかったはずです。

キャリアパスにおいても、「素人意見」が思わぬ発見をもたらすことはしばしばあります。

誰と話せばいいか

では、誰と話せばいいのでしょうか。私の答えは、「あなたの仕事から遠ければ遠いほどいい」です。

パートナー、昔の友人(宗教やマルチの勧誘と思われないように要注意!)、同じボランティアグループに所属しているメンバー等、誰でもいいのです。ただし選び過ぎは禁物です。こだわればこだわるほど、あなたの「箱の中」の思考様式が反映されてしまいます。

98%は全然役に立たない的外れな意見で、がっかりされるかもしれせんが、宝石のようなアイディアは、たくさんのガラクタの中に隠れています。誰もが簡単に探せるのであれば、そのアイディアは「差別化」にはつながりません。

騙されたと思って早速普段話していない人と話してください。きっと新しい発見があり、それがキャリアの差別化につながるヒントになるはずです。