企業サイズの選び方 – 項目別の傾向について解説

キャリア 転職

転職先を選ぶときに企業の規模が気になりませんか?
今回は企業選びの際に気になる企業のサイズによっての違いについて解説していきます。

  1. 前提
  2. 転企業規模による特徴
  3. 給与
    ワークライフバランス
    積める経験
    昇進スピード
    人間関係
    アドミン業務の量
    社内政治

前提

大企業の定義は、中小企業基本法によって定義されています。しかし、外資企業では日本での活動において、前述の定義を満たしていなくても大企業の特徴を有しているところは少なくないことなどから、今回は法律的な定義に則って論じるのではなく、飽くまでも規模が大きくなるとxの傾向があり、規模が小さくなるとyの傾向がある、という想定的な違いをご紹介していきたいと思います。

企業規模による特徴

一般的には規模の大きい企業がもてはやされる傾向にありますが、こと企業サイズにおいては、大は小を兼ねません。完全に個々人の好みに委ねられます。

以下より、項目別の大規模〜小規模企業の特徴を解説していきますので、これらを参考にあなた好みの企業を探してみてください。
※当然ながら中規模企業の特徴は大と小の間になります。

給与

一般的に大規模企業の方が中小規模よりも給与水準が良いと言われますが、「専門性が高い人材」のみに目を向けるとその限りではありません。

大規模な企業だと既存の社員との給与水準の兼ね合いなどで、高い給与の内定を出したくても出せない事情があるケースも散見されます。こうした場合は、むしろしがらみの少ない小規模企業の方が優位性があります。

一方、同じ小規模でもスタートアップには高い給与は望めないことが多いです。その代わり、やりがいはもちろん、ストックオプションなどのアップサイドに期待できる場合もあります。

ワークライフバランス

ワークライフバランスは実は会社の規模にあまり依存しません。
イメージとしては人員が豊富な大規模企業の方がワークライフバランスが優れていそうですが、小規模企業に比べて書類仕事など管理的な業務(いわゆるアドミ業務)が多いため、意外と残業が多い場合があります。

休みの取りやすさについても、最近ではいずれの規模の企業でも改善されており、こちらも規模からの影響が少ないようです。

積める経験

ここまで規模別の傾向が薄い項目が続きましたが、積める経験内容は企業サイズによって異なる傾向があります。
まず、想像に難くないのは業務の担当範囲です。基本的には大規模の企業は多かれ少なかれ縦割りになっており、業務範囲は狭く、小規模はその逆で広くなっています。ただし、単純に業務範囲の広い小規模企業が良いというわけではありません。大規模企業では、時間を掛けて順繰りに全体を経験させるため、一定期間一つの業務に集中でき、効率よくスキルを習得できる利点があります。反面、全体が一度に見えるわけではないので、事業を大局的に見ることは困難です。

一方小規模企業は、広い範囲を一度にやるため、常に頭を切り替えて別のタスクをしなければいけない大変さはありますが、自分がどのように事業に貢献しているか俯瞰して見やすい傾向にあります。

また、私がキャリアサポートをしている法務分野に関して言えば、最近では大規模企業でも法務担当を事業別に分けたり(担当事業に関する法務は縦割りなく広く担当する)しているため、小規模企業での経験の方がつぶしが利く可能性はあります。

次にピープルマネジメント機会についてですが、確実に大規模企業の方が機会が多いです。比較的若いうちから部下を持たせ、シニアレベルになると何十人、百人単位となるケースもあります。ただし、これは日系の大規模企業の特徴で、外資の場合は比較的大きい規模の企業でもこうした傾向は日系ほど強くありません。(特に昨今は多くの外資系企業で組織のフラット化を進めています)

希望される方の少なくないピープルマネジメント経験ですが、大きいチームを率いて、マネジメントしかしなくなると、何かあって転職しなければいけないときにマイナス要因になる恐れがあるため、お気をつけください。

昇進スピード

昇進スピードは、小規模企業の方が早い傾向ことが多く、タイトルのレイヤー(ジョブグレード)は大規模の方が多い傾向があります。
例えば、小規模企業には、staff, manager, director, managing directorの四段階しかタイトルがないが、大規模企業は、staff, senior staff, manager, senior manager, director, senior director, managing directorがあるといった具合です。

どちらが良いという問題ではなく、完全に好みに寄ります。しかし、「上が詰まっている」という不満を持つ方は大規模企業により多く見られます。

人間関係

仕事を選ぶ上で最重要項目の一つである人間関係。企業サイズによっての良し悪しはありませんが、それぞれの規模によって関係性の在り方に特徴があります。
大規模の企業においては、自分の部署などある程度の範囲までは強いつながりがありますが、少し職務的距離があると、ほとんど他人のような人が多く存在します。「プロフェッショナルな」職場環境を好まれる方にはお勧めです。
また、一人くらい変な人がいても被害が少ないことが利点として挙げられます。母数が大きいため、「迷惑度」が希釈されるためです。

逆に小規模の企業は、人と人との結びつきが強いため、「フレンドリーな」職場環境を希望される方にお勧めです。大きいサイズの企業と比べ、困った人がいると、一人あたりの受ける被害は大きくなりますが、採用側もその点理解されていることが多いため、意外と「変な同僚」による被害の話が大規模企業に比べて多いわけでもありません。

アドミン業務の量

ここで言うアドミン業務は、事務周りの仕事を指します。現場レベルで見ると必要かどうかわからない書類の作成などです。
多くの方がやりたくない仕事ですが、会社の偉い人が必要としているため、避けられない業務です。

通常、大規模企業の方がアドミン業務に費やされる時間が長い傾向があります。大きいサイズの企業では、非常に多くの管理系書類があり、厳格に決められたルールに則って、書類作成、記載などをする必要があります。会社が大きくなればなるほど、ムダと思われるこの手の作業が多くなることは想像に難くないでしょう。
小規模の企業では、大規模のそれと比べ、アドミン業務が少ない傾向にありますが、ルールややり方がきちんと決まっていなかったりと、作業分量自体は少なくても、時間の掛かってしまう環境である場合もあります。

社内政治

恐らくみなさんのご想像通りかと思いますが、大きいサイズの組織ほど社内政治があります。また、新卒採用が多く、社員の定着率が高い企業ほどその傾向は顕著です。とは言え、近年、社内政治の持つ重要性は以前よりも薄れてきているようにも思います。
一つの原因として、ジョブ型雇用(会社への依存度が低い)の推進が挙げられます。ジョブ型雇用が一般的になるにつれ、人材の流動性が高まり、且つ社内政治の影響を受けやすいメンバーシップ型(会社への依存度が高い)の社員の割合が小さくなるためです。
ジョブ型が一般的になっても社内政治が完全になくなることはありませんが、多くの方にとって吉報かと思います。

*ジョブ型雇用についてより詳しくは、こちら。
日本のジョブ型雇用

今回は企業サイズ別の傾向についてご紹介しました。
みなさんのキャリアプラン作成やご転職の参考になれば幸いです。