給与を上げたい【転職に頼らずできることをやる】

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給与を上げたい

私の受ける相談内容のトップ3には間違いなく入るでしょう。
転職に対する抵抗が少なくなってきている昨今、以前よりもカジュアルに給与アップのための転職を繰り返す人も目立つようになってきました。

しかし、「転職による給与アップ」に一生懸命な人は意外と収入が伸び悩んでいます。

なぜ思ったように給与が上がらないのでしょうか?

今回は、勘違いしがちな給与アップの狙い方について、正しい考え方をご紹介していきます。

  1. 転職は給与アップの最終手段
  2. 転職によらない給与アップ
  3. 転職によらない給与アップのメリット
    給与アップを希望している旨伝える
    正しいタイミングで給与アップ希望を伝える
    正しい言い方で給与アップ希望を伝える

  4. 転職による給与アップ
  5. 転職による給与アップの注意点

  6. まとめ

転職は給与アップの最終手段

転職斡旋を生業とする企業が増えてきているためか、街中やWebの広告上で「転職で給与アップ!」という文字が踊っています。こうした刷り込みが原因なのか、「給与アップしたい→転職しよう!」という回路が形成されている人が少なくありません。

しかし、転職は、給与アップの手段の一つ、もっと言えば、最終手段です。
転職をせずとも、現職で昇給のためにできることはたくさんあります。

そこで、ここからは「転職によらない給与アップ」「転職による給与アップ」に大別して話していきます。

転職によらない給与アップ

収入増のために転職を考える前に、まずは現職でできることを押さえましょう。
人生で限られた回数しかしないであろう転職カードを安易に切るのは非常にもったいないです。

※転職回数についての参考記事はこちら
転職回数は何回までOKか?

転職によらない給与アップのメリット

なんといってもレジュメを汚さずに目的(給与アップ)を達成できるのが最大のメリットです。また後述しますが、転職による給与アップはキャップ(上昇率の限界値設定)があることが大半です。「現在給与に関係なく、私の市場価値に見あった給与提示があるだろう」という考えは、残念ながら現実に即していません。
このことから、転職(給与アップの最終手段)をする前に、現在給与を高くしておき、転職による収入増の効果を最大化することが肝要です。

加えて、転職が数年に一回の単発での給与交渉であるのに対し、現職での給与交渉はいつでも何度でも可能です。現職での給与アップを狙わずに転職に頼るのは、大きな機会損失と言えます。

ここからは、転職をせずに給与アップするために押さえるべき点をご紹介します。

給与アップを希望している旨伝える

意外な落とし穴が、「希望の伝え漏れ」です。
給与アップを希望することが当たり前すぎて、それをあえて上司や会社の上の立場の人(ステイクホルダー)に伝えない人が散見されます。

一方、現在の給与に満足していないこと、アップを強く希望していることを、上手く伝えている人は、「条件交渉などせず黙々と働く人」に比べ、処遇が良い傾向にあります。退職やモチベーション低下リスクマネジメントの観点からも、「優先的に対処」する対象になるため、同じ会社の同じ部署内でも待遇に差があるケースも珍しくありません。

もしあなたが、「黙ってパフォーマンスを上げれば評価は後からついてくる」(個人的にはこうした考え方が好きですが)という考えであれば、給与アップにおいては会社から後回しにされている可能性があります。

正しいタイミングで給与アップ希望を伝える

さて、昇給を望んでいることを会社に伝えることにしました。それでは、いつそれを話せばよいでしょうか?
二通り考えられます。それは、自分がチームや会社に大きな貢献をした or 犠牲を払った時です。
以下のような例が挙げられます。

  • 重要なプロジェクトを成功裡に終えた
  • 大きなトラブルを収めた
  • 退職者などのカバーで通常よりも多くの業務をこなした

上記のような昇給に値する理由を持って、意思表示をするのがベストです。
また、会社で定められている昇給タイミングに余裕を持って話すことも重要になります。直前に話しても、次回昇給に持ち越される可能性が高いためです。

正しい言い方で給与アップ希望を伝える

波風をたてず、会社を納得させるのが理想です。
退職を盾にして脅迫するのは避けましょう。

伝え方の基本は、相手(上司、会社)に自分の価値を気づかせること、あなたの貢献への感謝の念を思い起こさせることです。部下の存在、貢献というものは、得てしてあって当然と勘違いしてしまうものです。自分がどのように部署、会社に貢献しているかを1on1等自分の仕事ぶりについて話す場面で上司や昇給判断のステイクホルダーにリマインドしてみてください。あなたが昇給を求めているようである、ということを認識させることが最も重要な一歩です。

自分の希望を伝えるのは、センシティブなコミュニケーションで、会話の流れや、話すトーンが大事であるため、一概に「こういうのが最も効果的だ」とは言えませんが、「自分は、〇〇(あなたの功績、貢献)をしてきて、この先この会社でのキャリアにどういったものが待っているか/どういったものを期待できるか」のような言い方ですと、給与とかお金といった直接的な表現を持ち出さずに話ができるため、お勧めです。

転職による給与アップ

現職での給与アップが見込めず、且つどうしても収入を増やしたい場合は転職という手段もあります。
但し、職を変えるということは、人生で限られた回数しかない「転職カード」を切るということです。特に転職回数が多い方は、払う犠牲を十分に認識した上で、転職をご検討ください。

転職による給与アップの注意点

案外知られていないけれど、知っておくと得をする転職による給与アップの注意点をご紹介します。

給与アップ率

転職による給与アップ率の中央値は、現職から5 – 15%アップです。
がっかりされたかもしれませんが、これが現実です。

いくら上手に給与交渉をしたとしても、社内承認(大手日系は、厳しく予算が決まっているケースが多く、外資は、予算にフレキシビリティがあっても海外のステークホルダーの承認を取り付けるのが非常に困難)、他の候補者の存在など、コントロール不可能な要因が多く、上記の数字に落ち着くことが多くなります。

また、多くの会社で現在給与からのアップ率の上限が設定されていることにも注意が必要です。例えば、「現在給与から20%以上の給与をオファーするには特別な承認(取るのが非常に困難であったりする)が必要」などのルールです。

とは言え、中には大幅な給与アップを実現できるケースもあります。(私の紹介実績最高は、現在給与から3倍アップ)
できることはしながら過大な期待を持たない、というのが転職による給与アップにおける重要な姿勢です。

転職先の昇給傾向

転職で給与アップを図る際に、意外と見逃されがちなのが入社後の給与アップです。
上述の通り、給与アップに重要なのは、日々現職で昇給していくことです。
つまり、転職先のオファー金額だけでなく、入社後の昇給傾向にも注目する価値があります。オファー金額はあまり高くないが、パフォーマンスによって急速な昇給が見込めるという会社もあります。そこそこの給与アップでオファーを出して、その後昇給させない会社よりも、前者の方が魅力的という見方もできるでしょう。

入社後の昇給率を確約できる会社は、なかなかありませんが、傾向だけでもできる範囲で確認しておくと後悔がないでしょう。

希望給与の伝え方

転職による給与アップのチャンスを最大限に活かすには、希望給与の伝え方にも注意を払わなければなりません。
よくある落とし穴は、最初に希望給与を伝えることです。

Geeklyの記事を下にスクロールしたところにある「履歴書へ希望年収を記載するリスクを理解しておこう」という項目にもあるように書類選考の段階では、あなたの真価を判断できないため、面接ができれば見込めたはずの年収アップが失われるリスク(記事より引用)があります。

給与額決定は、書類選考と複数の面接を通して行われ、他の候補者との兼ね合いなど、さまざまな要因が関わります。
選考の初期段階で、柔軟性を見せず高い希望額を伝えることで不要なリスクを冒すことは避けるのが無難でしょう。

まとめ

誰もが願う「収入アップ」ですが、転職という選択を安易に選ばず、まずは現職でできることはやり切るべき、というお話でした。
「言わなくても上げられる時は上げてくれるだろう」という考えは犯しがちな失敗です。正しいタイミング、正しい伝え方で給与アップを希望している旨を伝えましょう。