【2022夏最新】ジョブマーケットのトレンド

キャリア 転職

ジョブ型雇用、在宅勤務、副業許可、スタートアップ企業の急増

リクルートメントエージェントをやってきて、今ほどジョブマーケットの変化の多い時期はありませんでした。
そこで今回は、取り止めもなく、最近感じたジョブマーケットのトレンドについて書いてましました。
データプロテクションの需要増の項目だけ法務・コンプライアンスの方向けの内容ですが、それ以外は全ての職種に当てはまります。

よろしければご参照ください。

  1. 採用需要の高い業界
  2. データプロテクションの需要増
  3. 個人情報保護法の改正
    データビジネスの増加
    データ利用の多角化

  4. マネジメントポジションの減少
  5. 外資から日系大手企業へ
  6. 専門性の高い人材が欲しい
    異文化人材が欲しい
    英語人材が欲しい

  7. まとめ

採用需要の高い業界

結論から言ってしまうと、今はあらゆる業界で採用需要があります。
ほんの2年程前は、コロナの影響もあり、採用に前のめりな業界とそうでない業界は二分しました。
具体的には、ヘルスケアやIT分野の採用が目立ち、リテールなど、BtoCで顧客に直接触れる機会のあるビジネスでの採用が激減しました。

そして現在、リテール・外食はコロナ前と変わらない質・量の採用があります。

リーマンショックやコロナなど、大きい出来事があると、つい近視眼的にその時にアツい分野に目を奪われがちですが、時勢によって「アツい分野」は様変わります。そしてこのトレンドを完璧に読み切ることのできる人は存在しません。無責任に聞こえるかもしれませんが、不確実性の多い未来に向けてやるべきことは、自分が夢中になれる分野を損得勘定抜きで極めていくことです。

どんな分野にいても第一線で活躍していれば、他分野からも含め引き合いが多くあることは、過去8年間で4桁人の方のキャリアを見てきて断言できます。損得勘定抜きで自分のやりたいことを改めて考えてみることはキャリアにポジティブな影響をもたらします。

データプロテクションの需要増

データプロテクション/プライバシー領域の採用需要が激増しています。
理由は主に、「個人情報保護法の改正」、「データビジネスの増加」、「データ利用の多角化」の三点です。

個人情報保護法の改正

今年4月の法改正により、個人の権利保護が強化されたため、多くの個人情報取扱事業者がデータプロテクションの専門家の必要性を感じ始めました。
今まででは、専門性が高くない社員が兼務で対応してきた会社も、これを機に外部にスペシャリストを求め始めています。

データビジネスの増加

個人情報をビジネス利用する会社が増えたことも、データプロテクション領域の採用需要増に一役買っています。
保険や製薬業界のような、もともと大量の個人情報を保有しているのが当然の業界に加え、GoogleやFacebookのような広告業、小売、その他のどのような業界でも相当以上の個人情報を有するのが普通になってきました。

また、今は誰もが気軽にweb登録で個人情報を預けるようになっているため、規模の小さい事業者でも大量に個人情報を集められます。

このように個人情報取扱事業者の裾野が広がったこともデータプロテクション人材の人気に火が点いた一因です。

データ利用の多角化

大量の個人情報を保有する会社が増えただけでなく、活用方法も多角化してきました。ECサイトの購入・閲覧履歴からの「おすすめ」表示などがその代表です。
個人情報の活用方法が増えるほど、「どのような目的で」、「どこまで利用して良いか」という疑問は生まれます。これに対するソリューションの一つとして、データプロテクションのスペシャリストを採用することを選択する企業が増えました。

マネジメントポジションの減少

ここ数年「部下あり」のポジションが減ってきています。組織のフラット化が流行っていることが理由です。
一社例に取ると、某大手外資ヘルスケア企業では、7名の法務部員が3階層の組織で構成されていましたが、(図A参照)現在は人数はそのままで2階層になっています。(図B参照)

組織のフラット化の理由は様々ですが、「個々の主体性を強く持たせ、迅速な意思決定を実現するため」という理由が最も一般的です。
ピープルマネジメント経験を積むことのハードルが以前よりも上がった反面、その経験を求める採用も減っています。

外資から日系大手企業へ

「外資から日系大手へは転職できない」

ほんの少し前まで、そのような傾向がありました。
(給与などが理由で)そもそも行きたい人がいないのでは?と思われるかもしれませんが、若手は「本社で活躍したい」、中堅は「日本特異の事情を理解しないAPAC / グローバルに辟易」、シニアレベルは「キャリアの締めくくりに日本の企業に貢献したい」などの理由で外資から日系に移ることを希望される方はかなり多くいます。ただ、受け入れ側の日系企業がこれらの人材を受け入れることに躊躇してきました。

しかし、ここ最近で変化が生じて、日系大手企業がこぞって外資人材を求め始めました。
主に以下の3点が理由として挙げられます。

専門性の高い人材が欲しい

近年、多くの日系企業はメンバーシップ型雇用から、ジョブ型雇用に移行中です。
これに伴い、ジェネラリストよりもスペシャリストを求める傾向が強まってきました。

営業→経理→法務のようにジョブローテーションを行う日系企業に比べ、基本的に職種が固定されている外資系企業は専門性の高い人材の宝庫です。(どちらが良いというわけではありません。)こうした背景から外資出身者を狙う日系企業が急増しています。

また、ジョブ型雇用への移行に加え、クロスボーダーでの取引、訴訟、予防法務の高度化、規制強化なども法務・コンプライアンス専任でキャリアを積んできたスペシャリストを求める流れに拍車をかけています。

ジョブ型雇用についての記事は、こちらをご覧ください。
日本のジョブ型雇用

異文化人材が欲しい

こうしたハード面に加え、外資出身人材のソフト面にも注目が集まります。
その筆頭がカルチャーです。

日系大手企業の多くは、新卒時から同じ釜の飯を食べてきた社員が多く、雰囲気や発想が画一的になりがちです。そこで、多様性(人種や性別だけでなく、仕事の仕方、思想を含む)を持つことで組織を活性化しようと試みています。
かつては栄華を極めた日系大手でも、今は生き残りに苦戦している企業は少なくありません。こうした企業の中で、外の風を入れて現状打破を狙っているところは少なからずあります。

英語人材が欲しい

海外展開している日系企業にとって、英語人材は必須ですが、どこの企業でも十分な人数が確保できていません。
そこで、外資企業の社員がターゲットになっています。

これに加え、海外展開をしていない企業でも、一部職種(エンジニアなど)に日本語を話せない社員を雇用することが増えています。そうした社内コミュニケーションを英語にせざるを得ない会社でも、英語人材を外資から採用しようという動きは目立ってきています。

まとめ

ジョブマーケットにはその時々で様々なトレンドがあり、変化のスピードは益々早くなってきています。
その全てを予測することはできませんが、現在のトレンドとその背景にある理由から、大まかな潮流を読み解くことは可能です。

今回の記事がその一助になれば幸いです。