【意外と知られていない】エージェントを利用した給与交渉

キャリア 転職

前回ご紹介した給与交渉の記事では、「自分自身で交渉すること」に焦点を絞りました。

前回記事
【転職で損をしない】ハイスキル人材のための給与交渉術

そこで、今回は個人と転職エージェントを使った場合の給与交渉における違いと利用のコツについてご紹介します。
自分のサービスを宣伝しているようで決まり悪いので短い記事にしました。

  1. 自分自身でする交渉との違い
  2. 交渉の主体がエージェントになる
    他の人との比較で語れる
    交渉に必要な数字が得られる
    交渉優位な立場にしてくれる
    会社ごとの交渉ポイントを押さえられる

  3. エージェント利用のコツ
  4. エージェント選び
    正直な金額を伝える
    なるべく一社からまとめて応募する

  5. まとめ

自分自身でする交渉との違い

まずは、自分自身での給与交渉とエージェントを介しての交渉の違いについて押さえていきます。

交渉の主体がエージェントになる

一番の違いは、給与交渉を行う主体が、自分ではなく、エージェントになることです。当たり前じゃないかと言われそうですが、この点で得られるメリットは大きいです。

単純に「私の給与を上げてください」よりも「彼(女)の給与を上げてください」の方が声を上げやすいですし、交渉される側にとっても私利の交渉よりも他利のそれの方が聞く耳を持ちやすくなります。(実際は給与が高い方がエージェントに支払われる紹介料も高いため私利とも言えるのですが)

また、給与交渉はただただ上げてというのではなく、客観性に基づいている必要がありますが、どうしても当事者からの声というのは客観性を帯びて聞こえにくいものです。ここでも「交渉の主体の違い」が助けになります。

加えて、交渉において重要な「どこまでいくかの線引き」をしやすいのもエージェントを使った交渉の利点です。エージェントが交渉をする場合、高い数字でもそのエージェントの意見(通常一定以上の客観性に基づく)として言えるため、企業が高過ぎると感じても、エージェント話が行くに留まります。対して、自分で交渉をする場合、高過ぎる数字を言ってしまうと即お見送りになってもおかしくありません。

極端な話、交渉が上手でないエージェントに当たったときですら、本人が交渉するよりも良い結果を引き出すことがよくあります。それほど主体の違いの威力は大きいです。

他の人との比較で語れる

交渉では、希望する数字に説得力が必要です。そして説得力を高めるには客観性が欠かせません。
エージェントが給与交渉をする場合、あなたに近い経験を持った方にどのくらいの金額で内定が出る傾向にあるかなど、他人との比較を用いて希望給与が正当であることを示せます。個人でも「友人が〇〇円くらいの内定をもらっていた」と言われる方がいますが、母数の少ない事例で交渉しても逆効果です。

また、前述の交渉主体の違いと通じる部分ですが、企業とエージェントは良い人材を採用するという同じゴールを持った仲間です。時に夢みがちな募集要項や、市場感にそぐわない給与設定に意見しますが、大局的な目標は一致します。そうしたパートナー的存在から客観性を持った給与交渉がある場合、個人からのそれと比較すると、交渉に応じやすいというのも押さえておきたい点の一つです。

交渉に必要な数字が得られる

前回記事でも紹介したように、給与交渉の準備として、自分の市場価値の分析や、希望給与の設定が必要となります。

市場価値分析は、多くのサンプル数から統計的に出さなくてはならないため、個人でするのは難儀です。
その点、エージェントは多くの方の給与、転職事例(自分を通してのものに限らず)を見ているため、有用なアドバイスができます。

希望給与の設定についても市場価値分析と同様に、知っている事例の多さが客観性を高め、ひいては説得力に繋がるためエージェントにお手伝いできることは多いと言えます。

交渉優位な立場にしてくれる

前回、面接での高いパフォーマンスが給与交渉において不可欠であると書きました。
面接準備のお手伝いは、エージェントの重要な仕事の一つです。

一般的な面接準備はもちろん、応募先会社に特化した対策のサポートを受けることで、面接で高い評価を得て、交渉を優位に運ぶ下地ができます。

会社ごとの交渉ポイントを押さえられる

会社によって交渉の仕方は変わります。希望金額よりも少し低めに出して様子見する会社、謙虚な金額を言った方が逆に高いオファーを出してくれる会社、他にも様々なバリエーションがあります。

エージェントであればこうした特性をある程度知っているため、個人でする交渉に比べて、有利に話を進められます。

エージェント利用のコツ

有効な手段でも使い方を間違えると元も子もありません。エージェントの利用も同様です。

エージェント選び

自信過剰なエージェントの被害に遭う例が増えています。
エージェントの仕事は参入障壁が低く、質にバラつきがあります。給与交渉において言えるのは、「大きい数字を言うエージェント = 交渉が上手い」ではないことです。

自分から紹介したいがために、実現の難しい給与アップを餌にして紹介許可を得ようとするエージェントは少なくありません。

給与交渉を制するのは、数字の問題をデリケートに扱えるエージェントです。雑に高い数字を出してくる自信過剰なエージェントに上手な給与交渉は不可能なので、お気をつけください。

正直な金額を伝える

現在年収、希望年収ともにエージェントには正直な金額を伝えましょう。
現在年収は、内訳も伝えると安心です。
※現在年収の伝え方の詳細は、こちらをご参照ください。

希望年収も同様です。
エージェントに実際の希望よりも高めに言った方が給与アップにつながるという考えを持つ方もいるようですが、不正確な希望を元にした交渉は悪い結果しか生みません。

給与額において、転職者のみなさんとエージェントは一蓮托生です。正直に話していただいた方が、良い結果に繋げやすくなります。

なるべく一社からまとめて応募する

給与交渉において、他社の出方は重要な交渉材料の一つです。
例えば、自社が1,000万円でのオファーを考えているときに、同業他社が1,200万円で検討していたら、再検討の必要性に迫られます。

これには、二つの心理が働きます。
一つは、良い人材を逃したくないという心理。もう一つは、同業他社がそれほど欲しい人材なのだから、自分たちが気づいていない魅力があるのではないかという心理です。

選考の途中においても他社選考の状況がもたらす影響は大きく、給与交渉の行方にも大きく関係があります。
そして、これらの効果を交渉へのプラスの影響に落とし込むには、全ての応募をまとめて一社の転職エージェントからしていることが理想です。
他社経由での応募で、伝言ゲーム的影響を受けた三次、四次情報では、一次情報の活用のしやすさには敵いません。

エージェントは1社に絞らず、複数社(2, 3社がベスト)使うのが良いですが、なるべく1番のお気に入りを決めて、そこからまとめて応募されると良いでしょう。

まとめ

エージェントは給与交渉のプロ、と言いますが、交渉の上手さ以外にも構造的な優位性があるのが掴めていただけたでしょうか。
しかし、良い道具でも使い方次第です。今回ご紹介した給与交渉におけるエージェント利用のコツもご参照いただき、転職成功に繋げていただければ幸いです。