【弁護士向け】インハウスの副業 – 個人案件を続けたい

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「副業のできるインハウスポジションはありますか?」

あります。が、副業が、個人受任を指しているのであれば、許可をする会社は非常に少数であると言わざるを得ません。

今回は、インハウスポジションの副業事情について解説いたします。

  1. 巷の副業事情
  2. インハウスロイヤーの副業事情
  3. 個人受任を許可するのはどこ?
  4. スタートアップを希望しない場合
  5. レア求人を探す
    特例を作ってもらう

  6. まとめ

巷の副業事情

未曾有の変化の中にある日本。働き方改革の一環で、副業推進が推し進められています。
厚生労働省も、2020年に副業・兼業に関するガイドラインを発布したりと、日本には珍しく「改革」が進んでいます。

独占業務を持ち、個人でも仕事を取りやすい弁護士の注目が副業推進の動向に集まるのは自然なことでしょう。

インハウスロイヤーの副業事情

私がお付き合いのある企業の80%ほどがなんらかの形での副業を許可している反面、弁護士の個人受任については、首を縦に振らない会社がマジョリティーです。肌感で、無条件で個人受任を許可する会社は全体の5%未満で、「相談次第」なのが50%、残りは絶対に許可しないという内訳です。

個人受任禁止の理由として、「時間が取られ、本業に影響しやすい」や「利益相反になりやすい」などの理由を聞くことがよくありますが、どういう依頼を受けるかによって事情は全く異なるため、弁護士業という「ガチ感」が嫌われているように感じます。

個人受任を許可するのはどこ?

では、インハウスで働くことと、個人で依頼を受けることを両立させたい弁護士は、どんな会社を選べばよいのでしょうか。

答えは、スタートアップです。

スタートアップは、働き方に柔軟性がある会社が多く、一般の会社が許容しないことの多い社内弁護士の個人受任にも比較的寛容です。

スタートアップが個人受任を認める理由は複数挙げられますが、大きくは二つ「新しい試みに文句を言う人が少ないこと」と「非スタートアップとの差別化を図り、優秀人材を惹きつけるため」です。

インハウスロイヤーになりたい、でも弁護士として個人案件もやりたい、という方は是非スタートアップをご検討ください。

スタートアップ転職についてはこちらをご覧いただければ幸いです。
ベンチャー企業への転職で知っておきたいこと

スタートアップを希望しない場合

弁護士の間でのスタートアップ人気も高くなってきたものの、給与や、社風などが希望と合わず、「スタートアップNG」の方とお話することも少なくありません。そういう方が企業内弁護士をやりながら個人で案件もやりたい場合、どうすればいいでしょうか。

レア求人を探す

まずは数少ない、「スタートアップではなく、個人受任可能な会社」を探してみましょう。少ないだけで、まったくないわけではありません。

また、徐々にですが、「してもよい副業の範囲」を拡げる会社も出てきましたので、もしかしたら良い会社が見つかるかもしれません。

特例を作ってもらう

とは言え、仮に数少ない個人受任可能なスタートアップでない会社が見つかったとしても、給与や仕事内容など他の面で条件に合わない可能性は大いにあります。また、他の副業希望弁護士との競合が激しく、そもそも内定は得られないかもしれません。

そこで、「個人受任の許可を公言していない会社」に目を向けるのも一考に値します。

給与レンジや、タイトルにも言えることですが、求人に際して会社が言っていることが全てではありません。「本当は個人受任してほしくないから公言しないけど、どうしてもこの人に来てほしいから特例で許す」という事例もあります。

それには、あなたが面接によって、その企業にとって特例を認める価値があると思わせることが必要です。気になる企業が個人受任を許可していない場合は、とりあえず話してみることをお勧めします。

私がご紹介した、某大手外資BtoC企業法務の方は、個人受任の許可に加えて、時短まで勝ち取りました。当初、その企業は、副業についても時短についてもおくびにも出さなかかったにも関わらずです。

いずれも期待値は高くないため、1, 2ヶ月試して上手くいかなそうだったら、自身の希望見直しをすると良いかもしれません。存在しないかもしれない理想のポジションを求めて時間だけが過ぎていくというのは、実はキャリアビルディングにおいて大変危険です。

まとめ

個人受任可能なポジションは、スタートアップに比較的多く、スタートアップ以外を希望される場合は、「柔軟性のあるレアな会社を探しつつ、個人受任の許可を公言していない会社との面接も進めて、自分の価値をアピールしつつ、交渉していくべき」というお話でした。

副業推進が叫ばれていると、個人受任可能なインハウスポジションが普通にあるという印象に囚われますが、実はすごく希少です。

この記事が、みなさんの現状把握と、限られたチャンスを活かすための助けになれば幸いです。

こちらを読まれている方は、初めてのインハウスをご検討の方が多いと思いますため、以下も参考になるかと思います。

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