ジョブタイトルの考え方【職位についての正しい認識】

キャリア 転職

Manager, Director, Specialist… 求人を見ているとさまざまなジョブタイトル (職位) が目に入ってきます。
みなさんは、ジョブタイトルを見て自分に相応しいレベルの求人か判断できるでしょうか?

日々多様な求人を取り扱っている転職エージェントが判断方法を徹底解説します!と、いきたいところですが、ジョブタイトルだけでレベル感を正確に判断することは不可能です。

そんな中、今回はジョブタイトルについてどう考えればキャリア形成に有効かについて解説します。

  1. ジョブタイトルの定義
  2. ジョブタイトルからの給与予測
  3. ジョブタイトルのキャリアへの影響
  4. 「マネージャー」タイトルの意味
  5. 金融のジョブタイトル

ジョブタイトルの定義

身も蓋もない結論ですが、ジョブタイトルの定義は業界や会社によって異なります。
A社の人事マネージャー = B社の人事マネージャーのように同じレベル・給与とは限りません。

習熟度や経験年数、資格の有無などにより、各社異なる定義の上、ジョブタイトルを設けています。
そして、通常そのジョブタイトルにより(その社内での)給与レンジが設定されています。

例えば、マネージャータイトルであれば、給与が800 – 1,000万円、ディレクタータイトルであれば、900 – 1,500万円といった具合です。
※上記、同一社内に限る。

ジョブタイトルからの給与予測

次に、ジョブタイトルからの給与予測についてです。
その前に、一般的によく使われるジョブタイトルの種類について見ていきましょう。

  • (シニア)ディレクター
  • (シニア)マネージャー
  • (シニア)スペシャリスト
  • (シニア)スタッフ

一般的にはレベルが高い順に上記のようになります。
当然ながら頭に「シニア」がつくと、ワンランク上です。
一つの会社内であれば、通常は上記の順で誰の方が職位が上か分かりますが、前述の通り、異なる会社間で比較するとその限りではありません。

例えば、実例としてA社の法務ディレクターの給与が800万円程なのに対し、B社のスペシャリストの給与は1,600万円というケースがあります。ちなみにこれは同じ業界で、どちらも日系です。当然ながら、A社のディレクターの方は、B社のスペシャリストポジションに応募しても選考を通過することはできません。一般的にはディレクター >> スペシャリストと思われているにも関わらずです。

この一例を取っても、ジョブタイトルからの給与予測は難しいことがわかるかと思います。

よくジョブタイトルだけ見て、「このポジションは私にはレベルが低すぎる / 高すぎる」という方がいらっしゃいますが、もしかするとご自身にとって絶好のキャリアアップの機会を逃しているかもしれません。

ジョブタイトルのキャリアへの影響

ここまでで、ジョブタイトルの意味するところは会社によって違うことをわかっていただけたかと思いますが、転職の際の影響はどうでしょうか。
例えば極端な話、「実際はすごくシニアなレベルだけど、”スタッフ”というジョブタイトルのポジション」に就いていたとして、他社のディレクターポジション(実質的なレベル感は、現職の”スタッフ”職と同等)に応募した際に、選考に悪影響はないでしょうか?

結論から言うと、ありません。選考側はタイトルだけでなく、実際に何をやっているか、給与はいくらか、など多角的に判断するからです。
また、採用側は会社によってジョブタイトルの意味するレベル感が異なることは分かっているため、実質的にやる仕事のレベルが上がったり、やりたいことができたり、求めている条件を満たせるのであれば、ジョブタイトルが「落ちる」転職も積極的に検討されることをお勧めします。

逆に、ジョブタイトルで釣るポジションも存在します。中身の伴わない、聞こえの良いハリボテジョブタイトルはキャリアビルディングに百害あって一利なしなので避けましょう。

「マネージャー」タイトルの意味

よくある誤解が、「マネージャー = 部下あり」です。
実は、世にある「マネージャー」というジョブタイトルの付いたポジションの多くは部下なしです。

マネージャーは飽くまでもジョブタイトル名で、実際に部下を持つかどうかは、別途確認する必要があります。

金融のジョブタイトル

最後に、金融業界のジョブタイトルについて触れます。
金融のジョブタイトルは、他業界に比べて少し特殊です。

金融で最も特徴的なのは、VP(ヴァイスプレジデント)タイトルの扱い方です。
事業会社でVPといえば非常にシニアなポジションですが、金融(主に銀行・証券)においては、必ずしもその限りではなく、5年程の経験でもVPタイトルを取ることが可能です。
※近年金融機関では「タイトルの出し渋り」があるため、VPタイトルは以前よりも取りづらくなってきています。

多くの銀行・証券では以下のようなジョブタイトル順になっています。
※以下のようなジョブタイトルは外資金融発祥ですが、近年日系金融機関でも同様のジョブタイトルを採用するようになってきました。

  • MD(マネージングディレクター)
  • D(ディレクター)
  • VP(ヴァイスプレジデント)
  • AVP(アシスタントヴァイスプレジデント)
  • AS(アソシエイト)
  • AN(アナリスト)

ゴールドマンサックスは、DがなくてVPの一つ上がMDだったり、モルガン・スタンレーは、VPがDよりも上だったりと、会社によって差異があります。また、A社のVPとB社のVPは必ずしもレベル感が一緒ではないというのは、事業会社と同様です。例えば、数年前にあった某米系大手でのVP採用は、他社で言うMDレベルの方が入りました。もちろん待遇も他社のMDレベルです。

一方、生命保険ではVPというタイトルは事業会社同様に非常にシニアなレベルに付与される傾向で、通常ディレクターよりも上です。
生命保険、アセットマネジメントは、銀行・証券と比較して、会社によってのジョブタイトルの扱いが著しく異なり、一般化が困難です。

以上、ジョブタイトルについてでした。
みなさんがジョブタイトルの響きによる先入観にとらわれず、自分にとって本当に良いキャリアを選択されることに成功するよう願っています。