インハウスロイヤーに求められるスキル【法律以外】

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企業が弁護士に求める法律以外のスキルと聞かれて何か思い浮かびますか?

国内最難関資格に合格した弁護士はそれだけでも労働市場における価値の高い存在です。
しかし、熾烈な競争に勝ったグループ(今回の場合は弁護士)を抽出すると、当然ながらその中でも競争があります。

では、自分を他の弁護士と差別化するにはどのような点に気を配る必要があるでしょうか。
今回は、企業が弁護士に求める「法律以外のスキル」についてのご紹介です。

  1. 企業が弁護士に求めるスキル
  2. コミュニケーション能力
    ビジネスセンス
    英語力

  3. 新たなスキルが仲間入り
  4. ITスキル

  5. まとめ

企業が弁護士に求めるスキル

法務業務をこなす能力、は当然として他にどんなものがあるか見ていきましょう。
2018 – 2019年くらいまでは、企業が弁護士に求める法律以外のスキルトップ3は次の通りでした。
※これら三つは今でもインハウスロイヤーに強く求められます。

  • コミュニケーション能力
  • ビジネスセンス
  • 英語

三つ中二つはソフトスキルですし、イメージが掴みにくいと思うので、それぞれ以下に解説していきます。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力なんてあって当たり前、と思っている人は多いんじゃないでしょうか?
しかし、実は個々人での差は大きく、鍛えがいのある能力です。

例えば、インハウスロイヤーが専門的な法解釈を分かりやすく説明する能力も「コミュニケーション能力」の範疇で見られることが多くあります。どんなに素晴らしい知識でも人(大多数は法律の素人)に伝わらなければ意味をなさないという考えの元、コミュニケーション能力は、厳しく見られ、選考の合否を分ける要因となることも珍しくありません。

また、予防法務の重要性が高まる中、どれだけ社内の動きにアンテナを張るかが過去にないほど重要になってきています。言うまでもなく、多くの情報は人を介して集まるため、コミュニケーション能力と情報収集能力が「ニアリーイコール」になるといっても過言ではないでしょう。

ビジネスセンス

ここで言うビジネスセンスとは、経営能力や企画力のことではありません。
「法的な判断をビジネスサイドの目線で行う能力」のことです。

多くの企業が「法律上の正否を機械的に判断するインハウスロイヤー」に辟易しており、ビジネス側で何をしたいのか「文脈」を読んで、どうすれば法的リスクを避けて事業目的を完遂できるかを一緒に考えてくれる人を求めています。

冗長になりましたが、端的に表せば、以下のようなイメージです。

ビジネスセンスのないインハウスロイヤー
ビジネスサイド:うちのクラウドビジネスで集めたデータを〇〇に使って収益化したいんだけどどうかな?
ロイヤー:違法ですよ。
ビジネスサイド:・・・

ビジネスセンスのあるインハウスロイヤー
ビジネスサイド:うちのクラウドビジネスで、集めたデータを〇〇に使って収益化したいんだけどどうかな?
ロイヤー:それは違法だけど、××の部分を△△に変更してすればいけますよ。
ビジネスサイド:その程度の変更であれば大筋の目的から外れない。ありがとう!

上記の例は少し単純すぎるかもしれませんが、要は「純粋な合法性(違法性)の判断」から一歩踏み込み「ビジネスサイドがやりたいこと(またはそれに近いこと)を実行するための法務視点からのアドバイス」がビジネスセンスのあるインハウスロイヤーに求められているものです。

英語力

法務の仕事に限らず求められることの多い英語力ですが、数年前に数十の職種を対象にビジネスレベル以上の英語力がある人材の割合を調べたところ、ワースト1位が法務でした。
一方、「法務 + 英語人材」のニーズの増加はとどまるところを知らないため、英語力による他者との差別化が容易という点で、法務は英語ができる人にとってオイシイ領域と言えるでしょう。

英語力が全てではありませんが、英語で損をするのは馬鹿らしいので英語が必要になる前から備えておくと後悔のないキャリア構築ができると思います。

新たなスキルが仲間入り

長い間、前述の三つがインハウスロイヤー必須三大スキルとして君臨してきました。
しかし、最近になって四つめのスキルを求める企業が急増してきました。それは、「ITスキル」です。

ITスキル

ITスキルといってもインハウスロイヤーにプログラミングやサーバー構築のスキルを求めているわけではありません。

例えば、「顧客情報管理のソフトウェアをAからBに変えたらどのような法的リスクが想定されるか」や「自社開発のwebサービスを提供する上で、法的観点からどうした点に留意するべきか」などの質問にスムーズに対応できる「ITリテラシー(デジタルリテラシー)」といった方がイメージしやすいでしょうか。

言うまでもなく、企業がテクノロジーに頼る場面が激増しています。オペレーションが変われば当然法務としての対応も変わるので、それらに対応するため、ITスキル(リテラシー)を持つ法務へのニーズも高くなっています。

まとめ

弁護士資格の市場価値は非常に高いです。そして、その資格と相性の良いスキルを身につけることで、あなたの市場価値は爆発的に上がります。
今回は、そんな「弁護士資格と相性の良いスキル」のお話でした。

長年言われてきた、コミュニケーション能力、ビジネスセンス、英語力を満たす弁護士は増えてきましたが、ITスキルまで持っている方はまだ少数です。
今後の自己研鑽の参考にしていただければ幸いです。

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