初めての転職活動 – 後悔しないための留意点

キャリア 転職

初めての転職活動では何に気をつけるべきか。

私が転職活動をお手伝いする方の大多数は、転職経験者です。このため、転職の常識 = 転職初心者にとっての非常識、ということを忘れて、初めての転職をする方に対して、ついつい転職の常識をすっ飛ばしてアドバイスしてしまうことがあります。今回は自戒の意味、自らの備忘録の意味も込めて、初めて転職活動をする方が押さえておくべきポイントをご紹介します。

弁護士で初めての転職をインハウスで考えている方はこちらも併せてご参照ください。
初めての転職活動 – 法律事務所からインハウスへの転職

  1. 転職決心から応募まで
  2. 応募から内定まで掛かる時間
    理想のポジション
    後戻り

  3. 面接、内定まで
  4. 面接はお見合い
    選考の足並み

  5. 内定後
  6. 環境変化への恐怖
    ステークホルダーからの反発
    カウンターオファー(引き留め)
    転職先会社名の報告

転職決心から応募まで

応募から内定まで掛かる時間

中途採用において応募から内定まで掛かる時間を予測するのは非常に難しく、いつ聞かれても困る質問です。
多くの会社は面接が3 – 4回位で、スムーズに行けば3 – 6週間位で内定が出ます。
しかし、以下のような理由で、選考に遅れが出ることがよくあります。

選考を遅らせる代表的な要因

  • 他の候補者との選考タイミング調整
  • 純粋に検討中
  • 内定承認待ち(特に外資では時間が掛かる)
  • 面接官多忙/休暇中で面接設定不可能
  • ポジション要件変更

個人的には新しい会社に入社したい日から起算して、3, 4ヶ月位前から応募を始めると良いと思います。

理想のポジション

完璧なポジションはやってきません。

初めて転職される方は何度か転職を経験した方に比べ、転職先への期待度が高過ぎる傾向にあります。完璧を求めるあまり、存在しない完璧を待ち続け、転職適齢期を逃し、結果的に完璧から遠ざかる方も少なくありません。転職におけるゴールとは、自分が得うるオプションの中でベストなものを得ることです。初めての転職が最後の転職になる可能性は非常に低いです。今の立ち位置から2段も3段も上にある自分の理想のポジション待ち続け、目の前の小さなステップに足をかけないのは、結果的にキャリアゴールまで遠回りしていることになります。

後戻り

内定受諾前ならいつでも後戻り可能です。

特に初めての転職活動をされている方は、採用企業へ応募することに必要以上に高い心理的な壁を持っています。

応募しておいて辞退したら失礼ではないか。
内定を断ったりしたら、将来また応募したくなったときに不利じゃないか。

こうした不安を持つ方がいますが、杞憂です。
応募してから考えを改めたり、面接後にイメージを違うと感じたりして選考辞退することは何の問題もありません。
また、応募したからといって必ずしも内定までこぎつけることができるわけではないので、興味のあるポジションは選考を進めてみて、面接などを通し自分の目で判断していくことが後悔しない転職活動のコツです。

通常、一次面接の段階から内定が出た後(一部内定前にある程度決心を固めないといけない会社あり)まで、いつ選考辞退をしても問題ありませんが、オファーレターなどにサインをした後に辞退するのは避けましょう。訴えられた方は見たことがありませんが、自分の評判を傷つけることになります。

最低限の礼儀さえ守れば選考辞退しても問題ないことはわかった、でも応募しておいて選考辞退したら、将来その会社に応募したくなったときに不利になるんじゃないか。
こうした考えを持つ方もいると思います。しかし、そんなことを気にする会社を私は見たことはありません。基本的には数ヶ月程度期間を空ければ(お見送りされた場合は、一年が目安)再度応募してもおかしくなく、応募履歴や辞退履歴が不利に扱われる心配はないです。

こうした説明をしても心配する方が中にはいます。しかし、そもそも過去の選考辞退程度で根に持つ会社にいって幸せにやっていけるでしょうか。以上のことから、興味のあるポジションへの応募に対して必要以上に構える必要はないと断言します。

面接、内定まで

面接はお見合い

陳腐な表現ですが、面接はお見合いです。採用企業に選考されるだけの場でなく、応募者も採用企業を見定める場であると認識してください。一般的に新卒の就職活動での力関係は会社側が強いですが、中途採用では、互角の関係です。このため、面接が選考過程であると同時に、自発的に情報を集めたり、フィット感を見る場であることを念頭に置き、会話の中でどんどん質問して、応募企業が本当に自分にあったものか見極めることが重要です。

選考の足並み

転職活動では、複数の選考を同時進行するのが普通です。全部まったく同じタイミングで内定が出て、ゆっくり比較し、ベストなものを選択できるのが理想ですが、なかなかそう上手くはいきません。他の候補者の選考状況、内部approvalの取得、面接官の都合など、様々な理由で選考が予定していたペースで進まないのが普通で、、第一希望からの結果を知るのが、第二希望からの内定の返答期限後(第一希望の選考結果を知るためには、第二希望からの内定を見送るリスクを負う必要がある)なんてこともざらです。
転職会社のリクルーターを使う場合は、全てのポジションを一社から応募すれば、ある程度調整はできるものの、完全に選考の足並みを揃えて比較検討できるとは思わないのが無難です。

内定後

環境変化への恐怖

無事内定が出た後、オファー内容が自分の希望に合致するものであったとしても、多くの方が受諾を躊躇います。特に初めての転職では、未知への不安があなたの正常な判断能力に影響を及ぼし、ずるずると回答を引き延ばして、内定を出した企業の信頼を失ったり、誤った判断による内定辞退をし、あとで後悔したりします。行動経済学者のDaniel Kahnemanの著書によると、人間は、”失うもの”を”得るもの”より過大評価するそうです。現職と内定先を比較する際、あなたには現職に対してプラスのバイアスが掛かった状態ですので、第三者に相談するなどして、できる限り冷静に判断しましょう。

ステークホルダーからの反発

内定を受けるかどうかというステージに来て、配偶者や両親などの反対に遭うことがあります。特に以下のケースはこうした問題が付き纏いがちです。

  • 初めての転職
  • 収入が落ちる転職
  • 大手からの転職
  • 日系から外資への転職

純粋に生活基盤が揺るがないかという不安もそうですが、メガバンクなど誰でも名前を知っている会社からの転職は、あなたの親戚から反対されることすらあります。大手から大手への転職でも、BtoCからBtoBだと、一般人への知名度の問題でこうしたことが起こりがちです。

対策としては、転職の初期段階で、どのような会社に移る可能性があるかなど、自分の転職に対する考えを周りに伝えることが有効です。内定への返事をしなければいけないという段階で伝えてしまうと、反発が大きくなり、説得が難化します。

カウンターオファー(引き留め)

日本は人材不足です。あなたが退職してしまうとその穴を埋めるのは想像以上に大仕事で、代わりの採用は困難を極めます。このため、あなたが退職の意思を会社に伝えると、引き留めに遭う可能性大です。

引き留めをされると、不安になったり、罪悪感を感じたり、ただでさえ初めての転職で不安定な状態にさらに精神的負担を加えられる形になり、ともすると楽な方(内定辞退し、現職に残る)に流されがちですが、こうした判断は、単なる逃避なので、後々後悔します。最終出社日まで、針のむしろで居心地が悪いかもしれませんが、これもキャリアビルディングの一部と思い、堪えてください。

引き留めの際に、昇給、昇進、その他配慮を提案されることもありますが、こうした対応は、自分のこの会社での将来の前借りであることが大半です。一度退職の意思を示した時点で、後戻りできないものと考え、カウンターオファーに対して強い意思で背を向けましょう。

また、引き留めの亜種として“上司や同僚からの素朴な疑問の投げかけ”があります。ホワイト大手など離職率が低く、新卒から定年まで在籍することが当たり前のような会社だと、あなたの転職に対して純粋な“なぜ”という疑問が浮かび、利他的に転職を止めようとします。こうしたケースでは、引き留める側はあなたのためにやっていると心から信じているため、利己的な引き留めよりも振り切るのが難しいことが多いです。

転職先会社名の報告

内定を受諾し、転職先で勤務を開始するまでの期間は、転職先会社名を出さないことをお勧めします。
現職に退職を申し出る時や、退職日まで残りの期間を現職で勤務している時などに、転職先会社名を聞かれることがあると思います。この時に会社名を出して、どこに転職するかを知られることで思わぬトラブルが起きることもありまますので、ご注意ください。最悪の場合、内定取り消しにつながる問題に発展したケースも見たことがあります。

特に初めての転職は第一歩が億劫なので、よろしければ以下の記事を参照して行動に移してみてください。
忙しい方のための転職活動の始め方【最低限必要なことのみ解説】

いかがでしたでしょうか。
今回の情報がみなさんの初めての転職の役に立てば幸いです。