【過半数の企業が実施】オファー面談とは
オファー面談という言葉を聞いたことはありますか?
オファー面談とは、選考を終えて内定を出した後に行われる「選考ではない面談」です。最近は取り入れていない企業の方が少ないくらい一般的になってきました。
「選考ではない面談」というと一見地味な立ち位置ですが、転職者、採用企業双方へ非常に大きなメリットをもたらします。
全般的に転職者の方向けの記事ですが、最後の特殊なオファー面談例は、「内定を出しているのになかなか受諾に結びつかない」と悩んでいる採用担当者様の参考になると思います。ぜひご参照ください。
オファー面談とは
前述した通り、オファー面談(オファー後面談とも呼ばれる)は全ての選考を終え、オファー(内定)を出したあとにされる面談です。
オファー面談の目的は、以下の4点です。
- 質問をする
- オファー内容を聞く
- オフィス見学をする
- 人と会う
質問する
オファー面談は、面接中には聞きづらかった質問をざっくばらんに聞く機会として最適です。入社後のミスマッチを防ぐため、気になる点をすべて聞きましょう。
また、内定受諾を決めている場合は、入社前に学習しておいた方がよいことなども聞いておくことをお勧めします。
オファー内容を聞く
会社によっては、オファー内容がオファー面談の中で初めて告げられることがあります。また、面談前にオファー条件を受け取っている場合も、オファー面談中に細かい説明を受けたり、質問することも可能です。
オフィス見学をする
最近はweb面接だけで内定までたどり着くことが増えてきたので、オファー面談でオフィス見学も兼ねるケースが見られます。
すべてのオファー面談で必ずあるわけではないですが、時間が許すのであれば実際にオフィスに訪れた方が入社後のイメージがつきやすいでしょう。
オフィス見学を希望される場合は、利用しているエージェントか、企業へ直接依頼してください。
人と会う
こちらもすべてのオファー面談で必須ではありませんが、知っておいて損はない内容です。
実は、多くの会社でオファー面談で会う相手を選ぶことができます。これまでの面接官の誰かでもいいですし、福利厚生について詳しく知りたいのなら、人事の参加を希望するのもありです。また、複数(仕事について話せる直属の上長と、内定条件について話せる人事など)の人との面談を希望することも可能です。
そして「選考過程で会っていない人」を指定することも、会社によっては可能です。よくある例として、実際に一緒に働くことになる(上司でない)チームメンバーが挙げられます。
どこの会社でも希望が聞き入れられるわけではありませんが、聞いて損はありません。
以上、4つ挙げましたが、他にも思いついたら希望してみることをお勧めします。オファー面談は、詰まるところ、あなたが納得して内定受諾をするための判断材料を得る場です。それにあたり必要なことをクリエイティブに考えてみてください。
オファー面談にまつわるよくある質問
オファー面談について私がよく受ける質問は以下の4つです。
- 内定を取り消されることってある?
- 何を聞けばいいの?
- 面談は必須?
- 給与交渉していい?
内定を取り消されることってある
オファー面談に馴染みのない方にとって一番心配なことではないでしょうか?
結論から言うと、オファー面談での立ち振る舞いによって内定が取り消されることはまずありません。
しかし、今後長きに渡ってお世話になるかもしれない会社に必要以上に悪い印象を与えることは得策ではないでしょう。
何を聞けばいいの?
基本的にオファー面談でNGな質問はありません。面接時に遠慮して聞けなかった質問はなんでも聞いてしまいましょう。
特段聞きたい質問が思いつかない場合は、相手と仲良くなるのに時間を使うのがお勧めです。面談相手の入社経緯や、その後の経験など聞くことで話を膨らませ、入社前から関係構築をすることができます。
面談は必須?
通常、オファー面談は強制ではありません。しかし、するべきです。60分程度(場合によりプラス移動時間)を使うだけで、情報の取得、入社前の関係性構築などの大きなメリットを享受できます。
私自身が転職する時も絶対にオファー面談は省略しません。
給与交渉していい?
オファー面談での給与交渉はNGです。オファー面談の目的は、大きなカテゴリーで言えば「交流」であり、そこに交渉事を持ち込むのはご法度です。
本人が交渉するのは生々しく、交渉根拠の客観性にかけるため、エージェントを使っている場合は任せておくのが良いでしょう。
また、あまり知られていませんが、給与交渉はオファーが出る前に済ませておくのが基本で、オファー面談まで進んでいる時点で交渉を始めるには遅すぎます。
給与交渉の関連記事:
エージェントを利用しない給与交渉
エージェントを利用した給与交渉
特殊なオファー面談例
最後に、私が今までに見た少し変わったオファー面談例を紹介します。いずれの例も実際に入社され、現在も活躍されています。
うまく自社の魅力をアピールすることに成功した例なので、採用側の方の参考になるのではないかと思います。
- クリスマスの施設案内
- 出張オファー面談
- 逆出張オファー面談
クリスマスの施設案内
某超大手メーカーの話です。内定者の方(以下、Aさん)は、同社に強く心惹かれていたものの、最後に背中を押してくれるものを求めていました。
そこで、同社はAさんを自社製品の学習センター(と言っても、博物館として通用するほど立派な施設)へ案内しました。諸々の事情により、当日はクリスマス、しかも週末でした。
施設訪問を通して理解を深めた会社とその製品の魅力はもちろん、クリスマスにもかかわらず自分のために時間を使ってくれた同社の思いに背中を押される形で、最終的に内定受諾を決めました。
クリスマスに対応、というのは相手によってネガティブな印象を与えるため注意が必要ですが、「自社に来てもらいたいという思いを誠心誠意伝える」という姿勢からは多くを学べます。
出張オファー面談
某有名ヘッジファンドの話です。内定者(以下、Bさん)は、採用活動1年にしてようやく見つけた人材でした。選考は厳しい反面、「この人こそは」となったらとにかく厚遇する同社は、Bさんを自社APAC本部のある香港に招待し、2日に渡って関係者に紹介しました。
Bさんは、入社が決まっていないにも関わらず、多くの人の時間と予算を割いての手厚いもてなしに感激し、入社を決めたのはもちろん、会社が苦しいときにも踏ん張って活躍されました。
私はよく、「Welcomeムードをつくるのが大切」とクライアント企業にお話していますが、これはその最たる例です。オファー面談で海外にまでいってもらうのは大半の企業にとって難しいかと思いますが、それ以外の部分でもWelcomeムードをつくることは可能です。
逆出張オファー面談
明治創業の大手メーカーの話です。この会社には、法務部長自らの依頼で人材紹介をしていました。法務部長は決断の早い方で、私が紹介した候補者(以下、Cさん)との一次面接後すぐ内定を決めました。
Cさんは当時中国で働いていたのですが、なんとこの法務部長は中国へ飛び、直接Cさんへ内定を伝え、口説き落としました。結果は言うまでもなく内定受諾です。
この話から学べることは、「オファー面談でも他社との差別化が重要」です。優秀な方だと複数社から内定が出ることもよくあり、当然複数のオファー面談を受けます。この時、他社と横並びでありきたりなオファー面談をするのではなく、特異性を少し持つことで抜きん出ることが可能です。
オファー面談は、単なる形式的なプロセスではありません。転職者にとっては最後の判断材料、採用企業にとっては最後のアピールチャンスです。有効活用して、Win-Winな転職・採用に結びつけましょう。