【海外勤務】シンガポールのキャリア事情 1(全3回)
先日シンガポールへ出張しました。顧客訪問の合間に、趣味と実益を兼ねてキャリアアドバイス用の情報収集をしたので、共有いたします。
ご協力くださったシンガポールで活躍する日本人のみなさま、そして日本語なので読んでいないなと思いますが、現地転職エージェントと企業の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。
【高度専門人材】シンガポールの給与事情
以下の対象は、日本、シンガポール共に、専門職(ジョブ型雇用)が対象。例えば、法務、金融営業、コンプライアンス、人事、ファイナンス等です。
東京との給与差
シンガポールの給与は高い。
そう思っていた時期が私にもありました。転職支援の仕事をするまでは。
結論から書いてしまうと、シンガポールの給与は東京の二割増しくらいです。
えっ、そんなもん?
そう思われる人も多いかもしれません。
これは飽くまでも「均して20%高い」なので、中には日本にいる部下よりも給与の安いシンガポール上司もいます。
あなたの給与は、実はシンガポールの上司よりも高いかもしれませんよ。
手取りは別
ただし、これは額面の話です。シンガポールの所得税率が日本よりも低いのは有名な話で、日本が海外からの人材確保に苦慮している理由の一つとして挙げられることもあります。
以前一部の金融機関からシンガポールにいる人材を引き抜いて欲しいという依頼が立て続けにありましたが、所得税率の違いがネックになり、日本が好き、アニメが好き、などの特殊な事情がある人たち以外からは、なかなか日本で働くことに興味を持っていただけませんでした。
※シンガポールの最新所得税情報はこらち
Individual Income Tax rates
転職で給与が倍に
シンガポール(海外)で転職したら給与は倍になりました。
このような話をどこかの広告やSNS、Youtubeで見聞きしたことはないでしょうか?
過去10年に渡り、日本からシンガポールに転職をした人をかなりの人数見てきましたが、給与アップは額面で15 – 25%程度がほとんどでした。
しかし、稀ではあるものの、文字通り給与倍増になった例もあります。
代表的な例は二通りあります。
1.日系から外資へ
大手日系企業から「若いうちに」(ここが重要)シンガポールに転職する場合は給与が倍になるケースも珍しくなくなります。
日系大手は長期的に会社にいてもらう前提で、20代のうちは給与が抑えられがちです。一方、シンガポール(+ 西洋諸国全般)はスキルに対して値付けするため、若いうちに日本 -> シンガポールに移ると、大きく給与アップする可能性が高いです。
2.日本で過小評価
日本で過小評価されていた方もシンガポールで給与が大幅に上がる可能性があります。
スキル・経験に対して日本で不当に低い評価がくだされている場合。そしてそれを反映した低い給与である場合は、シンガポールで大幅な給与アップを見込めるかもしれません。
一つ例を挙げると、今回滞在中にお会いした日本人で、以前日本国内の外資系企業のインハウスロイヤーをしていた方がいらっしゃいます。
当時、彼女はマーケット水準から大きく下回る給与水準で働いていました。その理由は、今となっては確かめようがありませんが、恐らく彼女が当時弁護士資格を取って間もなかったことと関係があると推測します。
その後、シンガポールへ転職し、給与は倍増、5年以上経った今でも現地で活躍され、近々また別の国に移られるようです。
青い芝はどっち?
ここまで、読んでくださった方は、海外勤務が嫌でなければ、シンガポールに挑戦した方がよいのでは?と思うかもしれません。
私も興味のある方は絶対に挑戦した方が良いと思います。
しかし、シンガポールに転職したら絶対に給与が上がるとも限りません。逆に落ちるケースもあります。
日本はある種、守られたマーケットです。多くの求人で日本語ネイティブが必須要件であることは、暗黙の了解です。そして、英語ができる日本人は、「日本語に加えて」
英語ができることで、日本のマーケットで重宝されています。
他方、シンガポールでは、(日本企業現地法人と一部の日本クライアントの多い企業を除いて)英語のみで評価されます。さらに踏み込みと、華僑の多いシンガポールでは、中国語ができないことがマイナス評価になるケースもあります。「中国語もできず、英語もネイティブではない人材」というマイナスからのスタートになることも稀ではないでしょう。
シンガポールに限らず、海外勤務は楽しい、オイシイことだけではありません。それを覚悟した上で、挑戦する必要があります。
シンガポールについての記事は次回に続きます。
次回は、シンガポールへの転職活動の方法、転職先の種類についてご紹介いたします。