今すぐ転職をしない人のための転職活動 【パッシブ転職活動】
転職活動は「今すぐ転職したい」と思ってから始めるべきものでしょうか?
それは間違いです。
私は最近6年半ぶりの転職をしました。医者の不養生とはよく言ったもので、普段転職支援やキャリアアドバイスをしている者と思えないほど、お粗末な転職の進め方で、
1. 事前の転職市場調査、希望キャリアの検討皆無
2. 興味を持ったところ2社とカジュアル面談
3. その内の一社のみ正式に応募
4. その一社から内定を受け、受諾
という流れでした。
※カジュアル面談とは : 正式なポジションへの応募ではなく、一定の興味を持っている企業と面談を設け、より企業を知ること。効果的な情報収集というだけでなく、顔を売ることにもなる。
現時点で転職に後悔はないものの、それは結果オーライなだけで、非常に大きなリスクを背負った転職であったと思います。
転職活動は転職の必要がない時から始めるべきです。
自分の転職先選択肢になり得る他社の情報を取得し、場合によってはカジュアル面談をし、実際にアクションを起こす時にスムーズに動けるよう準備することが、転職不要の時から始めるべき賢い「パッシブ転職活動」です。
今回は、転職を望んでいない時から転職準備をするパッシブ転職活動のメリット・デメリットについて紹介します。
パッシブ転職活動
どんどん企業へ応募、面接をするだけが転職活動ではありません。
某転職サイトの宣伝文句ではありませんが、「今すぐ転職をしない人」も転職の必要性が出る前から備えることで、「本番の」転職活動がスムーズにいき、ミスマッチのリスクも軽減できます。
具体的にどうやるかですが、一番は信頼できるアドバイザーを見つけることです。敢えて「リクルーター」(ヘッドハンター、エージェントなど呼び方はさまざま)に連絡してくださいとは言いませんが、優秀なリクルーターであれば、長期キャリアの絵を描くための情報に精通しているので、良い選択であるとは言えます。
ただし、優秀であることに加えて、あなたのことを「商品」扱いしていない、信頼できる人物であることも重要な条件です。
パッシブ転職活動のざっくりとした手順は、以下の通りです。
- 自分がキャリアに求めるものを書き出す。
- 「信頼できるアドバイザー」に相談する。
- 相談の過程で気づきなどあれば、必要に応じて自分の希望を変更する。
- 希望に合致、または近しいものを中心に情報を集める。
- 場合によっては、企業とカジュアル面談などを実施し、よりイメージを固める。
- 上記を経て、更に気づきなどあれば、希望をどんどん更新していく。
- 以下、1 – 6までを繰り返す。
パッシブ転職活動のメリット
パッシブ転職活動には以下のメリットがあります。
特徴として、そもそものキャリアの方向性決定に寄与する利点が多く、ある意味本番の転職活動より重要とも言えます。
間違った方向に全力を出さないため、パッシブ転職活動実施の検討をお勧めします。
未来に向けた判断材料を得られる
「転職が必要でない」ときの方が冷静な判断を下せます。頭がクールな状態で、キャリアの相談をしたり、自分の適性、志向を整理したりすることは言うまでもなく今後自分が進む方向性を決める上で有効です。
しかし、一人で考えたり、ネットの情報を眺めていても、十分な判断材料を得ているとは言い難いです。どんなに高性能なコンピューターでもインプットがダメならアウトプットに期待できません。せっかく転職の必要性に駆られていない頭(高性能なコンピューター)があるのであれば、インプットにはこだわりましょう。上記でも触れた信頼できるアドバイザーとの相談や、企業とのカジュアル面談のような「実際のアクション」は最良のインプットです。きっとキャリア形成に有用な気づきをもたらしてくれることでしょう。
今注力すべきことを明確化できる
パッシブ転職活動は、アドバイザーとの相談や、求人例を見て、市場が何を求めているのか、ひいては自分のキャリア目標達成に向けてどのような努力をする必要があるのかを理解するための活動とも言えます。
自分に何が必要かわかってしまえば、現職での動き方も変わると思います。目標に近づくための経験が得られる社内の新しい仕事に手を挙げるようになったり、やる気が上がったり、行動的になったり、案外現職で上手くいって転職の必要はしばらくなくなるかもしれません。まさに「今すぐ転職をしない人も」するべきはパッシブ転職活動なのです。
出会いがある
実際に企業に応募しなくても関係者との出会いの場を持つことは可能です。
前述のカジュアル面談がその一例です。採用側の考え方が昔と変わり、今すぐ転職しない人でも、企業が面談を設けてくれることが増えてきました。採用側にとっても、自分の企業をよく知ってもらう機会を得ることや、優秀な人材との中長期的な関係性の構築などのメリットがあるので、遠慮せずどんどんカジュアル面談を活用しましょう。
本番の転職活動でも、面接前後で興味関心の強さが大きく変化することはよくあります。我々リクルーターのようなアドバイザーとの話も有用ですが、実際の企業関係者と接触することで、より多面的な判断をすることができるようになります。
リクルーターであればカジュアル面談制度がない企業にも話を持っていくことが可能なので、お気軽にご相談ください。
パッシブ転職活動のデメリット
デメリットはあってないようなものです。むりやり絞り出すなら以下の二点でしょうか。
時間を取られる
当然ながら何もしないのに比べたら時間が掛かります。とは言え、アドバイザーとの話(定期的にしてもせいぜい数ヶ月に一回)に30 – 60分、カジュアル面談をしたら一回30 – 60分程度です。加えて、自分で調べたら時間の掛かるようなことでもアドバイザーに質問したらすぐに回答が出ることも多いでしょう。(精度の高さは言うに及ばず)むしろ時間の節約、メリットになり得るかもしれません。
情報過多になる
欲張って5人も6人もアドバイザーをつけて相談すると情報が錯綜し、混乱に繋がります。相談をする相手は一人、多くとも二人くらいが良いでしょう。リクルーターをアドバイザーにする場合は、「口が上手いけど能力の低い(または信頼性や倫理観に欠ける)人」のアドバイスを「口下手だけど的確なアドバイスをしてくれる人」よりも優先してしまうこともよくあるため、注意が必要です。
アドバイザー選びに成功すればパッシブ転職活動のデメリットはないも同然です。
まとめ
「今すぐ転職をしない人」もやるべきパッシブ転職活動は、正しい目標設定をするための気づきを与えてくれます。キャリアに関する相談相手が探しやすくなり、企業とのカジュアル面談が可能になるなど、現代はキャリア構築がやりやすい時代と言えます。あとは与えられた武器をどう使うかです。
「転職活動をする」というと大ごとのようで腰が重いと思いますが、気軽にパッシブ転職活動をすることで、満足のいくキャリアに近づかれてはいかがでしょうか。