転職回数は何回までOKか?【転職回数で損をしないために知っておくべきこと】

キャリア 転職

「転職回数は何回まで許されますか?」

キャリアアドバイスをしていて、最も良く聞かれる質問の一つです。
今回は、許容される転職回数の目安や、転職回数の多い人へのアドバイスなど、転職回数について知っておくべき事柄についてご紹介します。

業種、業界によって多少の差がありますが、概ねどこにも当てはまるように書きました。ただしITエンジニアだけは他業種に比べて転職回数の影響を受けにくいので、その点ご了承の上、ご参照ください。

転職回数は社会人経験年数 ÷ 5まで

推奨回数ではなく、一般的に許容される可能性の高い回数です。
この程度の回数であれば、転職回数が理由で不利益を被ることは少ないと思います。

ただ、同じ回数でも相手に与える印象を考慮する必要があります。
例えば、以下の2例をご覧ください。

Aさん (32歳)
転職回数2回
1社目 8年勤務
2社目 1年勤務
3社目 1年勤務
現在求職活動中

Bさん(32歳)
転職回数2回
1社目 1年勤務
2社目 1年勤務
3社目 8年勤務
現在求職活動中

二人とも同い年で、転職回数 = 社会人経験年数 ÷ 5 ですが、どちらが次の会社で長く働いてくれそうでしょうか?
採用担当個々の好みはありますが、大多数がBさんを選びます。
採用する人は、過去よりも最近のことを気にするので、CVの直近の職歴をきれいにしておく必要があります。

転職理由は前向きで、簡潔に

転職回数の多い人は、転職理由の説明がネガティブになる傾向があります。
例えば、「A社ではこうした問題があってB社に転職し、今度はB社ではああした問題があって、C社に…」といった具合です。

ネガティブな転職理由が複数社にまたがって語られると、話を聞いている側には本人に原因があるようにしか聞こえなくなります。
たとえ真実だとしても、結局は相手がどういう印象を受けるかが全てなので、上記のような説明は得策ではありません。

そこで、転職理由は前向きなものに変えましょう。
例えば、「A社での○○の経験を通し、隣接分野でもある××に興味が湧き、××の業務のニーズが高い、B社に転職しました。その後、B社では○○の経験を活かし、××を短期間で習得したところ、ちょうど○○と××の両方を求めている募集があったC社に…」というふうに話す方が印象が良いです。

後者でも自分の興味に合わせて自分勝手に短期間で転職している感じは否めませんが、前者が他責思考でどこに行っても長続きしない人、に見えるのに対して、後者はすこし移り気だけど、仕事はできそうな人に見えます。

理由の説明の仕方だけで転職回数の多さに対する懸念を100%拭い去ることは不可能ですが、取り得る策の中でベストなのは後者のような説明です。

もちろん嘘は禁物です。今までやってきたことの棚卸しをしっかりやって、事実に基づいた転職理由の説明をする必要があります。

また、転職理由は簡潔に話すのがベターです。
転職回数が多いと自覚されている人ほど、説明が冗長になりがちです。

「事細かく説明して、相手に理解してもらいたい!」という気持ちは痛いほどわかりますが、何度も転職を重ねている人が冗長な説明をしてしまうと、言い訳がましく聞こえてしまいます。

少し足りないと思うくらいの説明でも、企業側が気になったら追加の質問をされるので、そこでさらに掘り下げて話せば問題ありません。

外資や専門性の高い仕事も転職回数の影響あり

「外資/専門職であれば転職回数は関係ないですよね?」

残念ながらそんなことはありません。
外資は日系企業に比べて転職回数に若干寛容ですが、「何度転職していても実力だけで評価してくれる」というのはよくある勘違いです。

これは、弁護士などの専門性の高い職業でも同様なので、いたずらに転職回数を増やさないようにキャリアプランを練る必要があります。

非常に高い and/or レアなスキルを持った人は何度転職しても良いポジションに就いているのも事実ですが、そうしたケースは稀ですし、自分と同レベルの候補者が多数応募するようなポジションだと、転職回数の比較で不利になることがあります。

“外資転職 回数”でググると「転職回数が多くても○○をしっかりしていれば不利にならない」とか、さらには「転職回数の多さが有利になる」みたいな記事もありますが、あなたがどういう行動をとれば得する人たちがこうした記事を書いているか考えた上で、信じたいものを信じるのではなく、目を背けたい現実でもしっかりと見据え、やれることをやっていくことがチャンスを最大化するたった一つの方法です。

少なすぎるのもダメ、転職回数の落とし穴

意外かもしれませんが、転職をまったくしていないのも不利になります。

社会人経験が10数年以上あって会社を移った経験がないと、採用企業に「新しい環境に順応できるか?」、「過去のやり方にしばられないか?」といった懸念が生まれるためです。

メガバンクをはじめとする、日系大手企業では50歳位で初めての転職を考える人が目立ちますが、採用側が躊躇することが多いです。

以前ほどではないものの、日本では新卒で入った会社で一生働くというキャリアが珍しくありません。日本の大企業には中途社員では就けないポジションがありますし、転職を一回もしないというのもキャリアの選択肢としてありだと思います。
しかし、一生に一度でも転職をしようと思っている人は、最初の会社は10年前後で辞めて、その後は程々の転職回数をキープしながらキャリア構築していくのが良いでしょう。
社会人経験 ÷ 10程度の転職回数があれば、「転職をしてなさすぎて不利になる」可能性は低いです。

いかがでしたでしょうか。
転職回数への寛容性はまだまだ高まってくると思いますが、どこかで頭打ちになると予想します。
今後どのような社会になっていくとしても、転職カードを切る際は事前にしっかりと考えることをお勧めします。
その際にこの記事が参考になれば幸いです。