中途採用で若手英語人材を効率よく採用する方法 – 正社員

採用 英語人材

「英語のできる若手募集中です!」

という企業は多いのではないでしょうか。エージェントの私が最もよく見かける募集内容です。

日本の英語話者の少なさと逆三角形の労働人口年齢ピラミッド、採用側のニーズの高さの組み合わせから、エージェントとしては最も紹介に苦労する募集内容でもあります。
今回は、いろいろな会社が同様の採用をやられてきたのを見てきた経験から、業界問わず使える早く、安く、楽にポジション充足する方法をご紹介します。

おすすめの採用手順

エージェントでリテイナー(着手金ありのサーチ依頼)が一番です!と言いたいところですが、”安く”が満たせないので、以下の方法を上から順に(並行しながら)使っていくのが良いと思います。
※今回の求人はコンフィデンシャル求人でなく、広く情報を公開して良いポジションしてよいという前提で進めていきます。

  1. インターナルリファラル
  2. LinkedIn、スカウトサイト
  3. Web広告
  4. エージェント – コンティンジェンシーサーチ
  5. エージェント – リテイナーサーチ

上記の順番でやられている会社は多いと思いますが、それぞれの方法について掘り下げて解説していきます。

インターナルリファラル

早さコスト楽さアプローチ範囲人材のマッチ度
-×

一言で言えば、自社社員の紹介です。中途採用において、インターナルリファラルはまず第一に試すべき募集方法です。

一番の利点に、人材のマッチ度が挙げられます。社員の知り合いなので、カルチャーフィットがバッチリな可能性が高く、入社される方は”中の人”から話を聞いているので入社後ギャップですぐ辞める可能性も低いです。コストについては紹介者に払われる紹介料によりますが、概して低いコストで採用できると思ってよいでしょう。
早さは運による要素が大きいため、-としました。

反対に、アプローチ範囲については非常に限定的です。このことから、インターナルリファラルは、1 – 2週間くらいやったら、早めに次の手を打つのが賢明と言えるでしょう。

LinkedIn、スカウトサイト

早さコスト楽さアプローチ範囲人材のマッチ度
○〜◎

かなり一般的になった感のあるLinkedInですが、欧米を始めとする海外と比較して、日本では率先して使う方の少ない印象です。コストはアカウントをアップグレードしても年間数万円ですが、ユーザーが少ないため、アプローチ範囲が広いとは言えません。候補者にメッセージを送る作業は楽なものの、いきなりLinkedInで声を掛けて応じてくれる方は少数なため、作業が徒労に終わることも少なくないです。

基本的にアカウントを作っているのは”ソリッドな”方が多いですが、その中でも若手で英語ができて募集職種の経験もある方だとあちこちから大量のメッセージを受け取っているので、良い候補者ほど返信が期待できないジレンマがあります。

スカウトサイトはCareer Carverみたいなものを想定しています。LinkedInに比べ実際に転職活動中の方にヒットする確率が高いです。ただし、とりあえずアカウントを作って放置している方も多いため、アクティブユーザー数には期待できません。また、コストもLinkedInよりも高い場合がほとんどです。

募集職種によりますが、めぼしい人にメッセージを送り切るのに時間はさほど掛からないので、返信を待つ時間も含め、LinkedInとスカウトサイトを併せても1週間くらいで十分でしょう。

さて、ここまでは比較的狭い範囲の人材にアプローチしてきたので、次はぐっと募集範囲を広げましょう。

LinkedInやスカウトサイトを使う際のコツもご紹介します。

企業から届くLinkedInや、スカウトサイトでのメッセージがテンプレート丸出しであることに不満を感じ、応募をしないことにしたという話をよく聞きます。”これは”という方には多少時間を掛けてでも”刺さる”メッセージを書くのがお勧めです。

Web広告

早さコスト楽さアプローチ範囲人材のマッチ度

楽で、コストも比較的安いため、多くの会社が使っている方法です。アプローチ範囲が広いですが、候補者は受動的に情報を受け取るだけのため、訴求力は弱いです。また、要件を満たしていないけど、ダメ元で応募される方が多いため、スクリーニングに時間が掛かります。

Web広告を使う上でのポイントをいくつか紹介します。

使用する広告を限定する

採用するペルソナに訴求するメディアを厳選し、広告を出しましょう。
あなたの募集している職種の若手英語人材が見るであろう広告メディアはどこでしょうか。

あちこち広告を出さない

候補者があなたの会社の求人をあちこちで見れば見るほど応募意欲が失せていくと思ってください。
これは、求人の”レア度”がなくなり、魅力的に見えなくなることと、あなたの会社が”desperate”になって募集しているように映るためです。
広告を出せば出すほど応募数は増えますが、良い人材の応募からは遠ざかって行きます。

要件を限定的にし過ぎない

優秀な人材ほどセルフリジェクションをする傾向があります。
例えば、○○の経験年数5年という要件があったとして、該当する経験が4.5年だけど他はすべてパーフェクトな人がいたらぜひ採用したいですよね?しかし、そういう人ほど勝手に「自分には応募できない」と考えます。
今までに何人も上記のような人を説得して紹介してきました。こうした企業は、Web広告に載せる要件の書き方を少し工夫していれば、私に紹介料を払わないで済んだかもしれないのです。

Web広告もあまり反応がないとなったら、腹を決めてエージェントにコストを掛けましょう。

エージェント – コンティンジェンシーサーチ

早さコスト楽さアプローチ範囲人材のマッチ度
×△〜◎○〜◎

コンティンジェンシーサーチとは、紹介料を成功報酬として払うサーチです。

事前に着手金を払うリテイナーサーチ (後述します)というものもあります。エージェントの価値を過大評価していると思われそうですが、中の上以上のクオリティのリクルーターを使うことができれば上図のようになると思います。

楽さに範囲を設けたのは、一つのポジションに対して使うリクルーターを増やせば増やすほどエージェントの管理に手間を取られるためです。

エージェントを使う主たる利点は上図に入らない次の2点にあります。1点目はアプローチエリアです。エージェントがポジションを紹介する候補者には、LinkedInやスカウト、広告、社員紹介でリーチできない人材が含まれます。経験上、内定を得るのはこの層にいる方が多いです。多くの人は積極的に転職活動をしていない”パッシブ”な方たちなので、エージェントを使わないでリーチするのは容易ではありません。
2点目は募集ポジションの魅力を効果的に伝えられることです。エージェント個人の力量によりますが、相手の性格やキャリア志向を考慮しながら、なぜそのポジションがおすすめなのかを的確に伝えることができます。場合によっては対面で話したりもするので、この点もエージェントを使わないとなかなかできないことと言えるでしょう。

エージェントを使う上で重要なのは、使うエージェント数を絞ることです。
エージェントをたくさん使うと次のデメリットが発生します。

  • エージェント管理に手間が掛かる
    -大勢のエージェントと話すのは時間も掛かるし、エージェントと二人三脚でサーチをしていくことが難しくなります。
  • 候補者に避けられる
    -上記のWeb広告でも書きましたが、あちこちから同じポジションについて聞くと候補者は応募から遠ざかります。
  • エージェントのサーチ優先順位が下がる
    -エージェントもビジネスなので、紹介が成功する可能性の高いポジションにより力を入れます。

エージェントを使っても解決しないとなると、より高品質な以下のサービスが必要かもしれません。

エージェント – リテイナーサーチ

早さコスト楽さアプローチ範囲人材の質
○〜◎×○〜◎

コンティンジェンシーと違い、サーチ前に着手金を払い、紹介成功時に再度紹介料を払うサービスです。

会社によって、コンティンジェンシーと料金が同じ(支払いを2回に分けているだけ)ところと、プラスαが掛かるところがあります。
リテイナーはあなたの募集案件が最優先になるため、コンティンジェンシー以上にエージェントがサーチに時間が割きます。会社によってリテイナーのサービス内容に違いはありますが、基本的にはより深くサーチし、あなたのポジションのためだけにヘッドハントしたりします。私のチームを例に取ると、コンティンジェンシーの場合はサーチを担当者一人でやるところ、リテイナーだとチーム全員でやります。

サービスの質はコンティンジェンシーよりも数段上です。
結果的に紹介ができなかったとしても、着手金は返りませんが、成功率は高いです。

リテイナーを利用する際に留意する点は1点のみ。あなたが信頼できるエージェントを選定することです。
何社か話してコンペ形式に決定するのも良いかもしれません。

オマケ – その他の工夫

各社良い候補者を探すのにいろいろな方法を試されていますが、最近とくに目立つものを2つご紹介します。どちらも効果が高いと思います。

  1. カジュアル面談
    カジュアル面談とは、正式な面接前にカジュアルに候補者に会って話すことです。
    「正式な応募は躊躇するけど、カジュアル形式なら会ってみたい」という人は少なからずいますので、こういった人材を取り込めます。
    カジュアル面談は、オフィスではなく、コーヒーショップで行うなど、会社によってやり方は様々です。
    実施している企業は明らかに採用がよりスムーズになっています。
  2. 1日選考会
    通常数日に分かれて行う面接を1日で行う選考会です。主にコンサルティング企業の若手中途採用で行われています。
    多くの場合、説明会→興味のある人はその場で選考に進む、という形式を取ります。
    中途採用はスピード勝負です。人気の若手英語人材であれば他社も急いで選考します。これに対抗する上で1日選考会を設けてみるのもアリかもしれません。

いかがだったでしょうか?

今回は中途採用、若手、英語人材、というキーワードで、おすすめの採用手順をご紹介しました。各社事情により最良のサーチ方法は変わると思いますので、それぞれのサーチについての解説を参考に自社にベストな採用計画を立ててください。
まったく急いでいない採用であれば、エージェントを使わず自社サイトの採用ページなどで気長に幸運を待つのもありだと思いますし、急いでいる場合は、サーチに時間を掛けるのもコストなので、はじめからリテイナーでサーチした方が良いということもあります。

今回の記事が何かの参考になれば幸いです。