失敗しない外資企業への転職方法

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転職活動において、どこに応募するかも大切ですが、どうやって応募するかはもっと重要かもしれません。
今回は失敗をしないために知っておくべき、外資企業への応募方法の種類をご紹介します。
一部の内容は特に外資企業に言えるものですが、話の要点は日系にもあてはまることなので、日系希望の方も参考にしてください。

会社への応募方法

ざっと以下のようなパターンがあると思います。

企業の採用ページから応募

知り合い経由での応募

エージェント経由での応募

SNS (LinkedInなど)経由で企業から直接ヘッドハント

企業の採用ページから応募

採用方法が多様化するまでは王道でしたが、現在では可もなく不可もない方法で、正直なところ他に有効な手がなかった時の最後の手段です。
特段メリットはなく、デメリットは3つあります。

  1. 採用職種をすべて公開していない可能性がある
    エージェントから聞いたことのある方もいると思いますが、企業にはコンフィデンシャル案件があります。例えば、新しいプロジェクトに関する募集のため、採用内容から秘匿情報が他社に漏れる可能性がある場合や、現職の人と入れ替えで採用しようとしているが、本人が知らないケースなどです。こういったポジションは不特定多数の目に触れる採用ページには載せません。

  2. 面接の特徴や、会社の雰囲気などの情報が得られない
    内部に知り合いでもいない限り、なんの情報もないまま選考過程を進むことになります。過去問をやらずに受験するようなもので非常に不利です。また、内部の情報がわからないため、入社後に期待とのギャップがある可能性があります。

  3. 条件交渉がやりにくい
    相手がどの程度自分を評価していて、どれくらいの給与まで支払えるのかわからないため、相手の言いなりになってしまいがちです。

  4. あなたの経歴をしっかり判断されない可能性がある
    人事はすべての職種について知見があるわけではありません。また、募集部署の部長などから採用要件を聞いて、それをもとに書類選考をしているため、伝言ゲームでの情報ロス的なことが起こり、あなたが本来面接に進むことができる人でも良くわかっていない人事に書類で弾かれてしまうことがあります。

    実例を挙げると、このようなことがありました。
    少し前にある会社でM&Aロイヤーを募集していました。大手法律事務所でずっとM&Aをされてきた経験豊富な弁護士が直接応募したのですが、なぜか書類選考に落ち、その後私がその方を法務部長に直接紹介したところ、面接に行くことができました。書類で落とした人事本人と話したわけではないので、本当の理由は分かりませんが、私はこの弁護士がレジュメに”Merger & Acquisition”と書いていたため、”M&A”というキーワードを探していた人事が採用基準に満たないと判断し、見送ったのではないかとにらんでいます。

知り合い経由での応募

これはかなりお勧めです。エージェントに掛かる費用を削減するために、最近は社員からの紹介 (Internal Referralと言われます)を奨励する企業が増えてきました。知り合いを紹介して、3ヶ月以上勤務したら報奨金20万、みたいなやつです。
メリットは、知り合いを通して社内事情がわかること、また紹介者が面接官などを直接知っていたら、面接のアドバイスを受けることも可能です。
デメリットは特別ありませんが、注意するべき点が3つあります。

  1. その友人があなたの募集する部署についても詳しいか
    同じ会社でも部署によって天国と地獄、ということはよくあります。紹介してくれる友人があなたの応募する部署にきちんと理解があるか事前に確認することが必要です。

  2. 条件交渉をどのようにするか
    知人の紹介で選考を受けているので、紹介者の手前、交渉がやりづらくなりがちです。

  3. 紹介者が報奨金目当てでないか
    これはあまり心配する必要がないかもしれませんが、あなたを会社に紹介する人が報奨金目当てである可能性はゼロではありません。友人であったら良いですが、知り合いとか元同僚が紹介者であったら念のため気をつけた方がいいです。実は私自身、お金目的で自社に知り合いを紹介して、結局長く続かなかったという例を身近に見たことがあります。

エージェント経由での応募

知り合い経由での応募と同様に、お勧めなのですが、最良の方法にも、最悪の方法にもなり得ると言う点に注意が必要です。

メリットは5つあります。

  1. その企業に入社することがあなたのキャリアプランに適っているか中長期視点でアドバイスをしてくれる
    エージェントは、いろいろな会社の人と転職相談でお話ししています。これを通して、あなたを紹介する企業の良い点だけでなく、悪い点についての情報も得ることが可能です。
    また、転職においては、次の次も考えることが必要です。例えば、目の前に年収1000万円の仕事と1200万円の仕事があったとして、もし1000万円の方があなたの中長期的なキャリアゴールへの近道だとしたら、目の前の200万円に惑わされるべきではないかもしれません。経験のあるエージェントは多くのキャリア例を見ているので、こうしたことを俯瞰して判断することに長けています。

  2. 採用権限者に直接あなたを売り込める
    企業の採用ページから応募で書いたことにも関連しますが、あなたの経験を一番正当に評価できるのは、募集ポジションの上司です。エージェントからの紹介であれば、ここに直接アクセスできる可能性が高いです。また、レジュメを送るだけでなく、例えばあなたの応募企業へのカルチャーフィットなど、レジュメ上で判断できないことも売り込めます。人間の判断の大部分は感情に因るものだといいます。電話で直接採用権限のある人に働きかけるのは想像以上に効果的です。

  3. 面接準備を手伝ってもらえる
    面接内容や面接官についての情報を持っていることが多いですし、場合によっては面接のロープレをやってもらえることもあります。
    私は、特に英語面接に慣れていない人と英語でのロープレをすることが多いですが、有用だと思ってもらえているようです。

  4. 可能な範囲最高の条件を引き出す給与交渉ができる
    経験の豊富なエージェントは、給与交渉の術を知っています。また、オファー給与はエージェントの受ける報酬にも直結しているため、あなたと利害が一致しています。

  5. 入社後の相談ができる
    入社後の状況などを話し、中長期的にどのようにキャリアを積むことで自分の目標に近づけるのか相談ができます。キャリアは連続的なものです。しばらくは会社にいるつもりでも、今の会社でどのように力をつけて、将来にどう活かすかは入社1日目から考えて損はないと思います。

「すごい!絶対リクルーター使うわ!」と思った方は気をつけてください。上記はあくまでも良いエージェントと出会えた場合です。
最初に述べたように、エージェント経由での応募は最悪の方法にもなり得ます。
これはいい加減なエージェントが少なくないためです。

エージェントを使うことで起こり得るデメリットは大きくわけて2つあります。1つ目は経験がなく、あまり役に立たないエージェントにあたること。これは会えばすぐに分かると思うのですが、最も気をつけなければならないことは、2つ目、ウソ(情報の隠蔽含む)をつかれることです。
リクルーターは口が達者な人が多いですし、相手が外国人エージェントであれば、英語でのコミュニケーションになるので、英語を理解するのに一生懸命で、違和感に気付きにくいケースがあります。

転職者とのお話などを通してエージェントがついたウソには以下のようなものがあります。

  1. 会社、ポジションについてのウソ
    企業文化、働き方、積むことのできる経験について意図的に事実と違う話をする人がいます。何度も人を紹介している会社で、企業文化や、働き方などしっかり理解しているにも関わらず良いことだけ言って入社してみたら全然期待と違ったという話を聞くことが少なくありません。

  2. 紹介先企業との付き合いについてのウソ
    自社と付き合いのない会社(紹介できない会社)に紹介すると言う人が大勢います。他社から紹介されないようにし、自分のところで紹介可能な会社に入社させてしまおうというのが目的です。自分で応募したと思っていた会社に実は紹介すらされていない訳ですから、ひどい話です。得られたかもしれないチャンスを自分の知らないうちに失ってしまうインパクトはあなたのキャリアにとって小さくはありません。

このようにリスクもありますが、正しい使い方をすればエージェントは非常に心強い味方です。スポーツ選手はみなエージェントを使うように、我々転職者もエージェントを通した方が何かと有利です。信頼できる人を探して長く付き合っていくことをお勧めします。

SNS (LinkedInなど)経由で企業から直接ヘッドハント

最後に、最近増えてきたSNS(主にLinkedIn)を利用した採用企業からの直接のヘッドハントです。
正直なところ、あまり良いイメージがないです。私が会社内のリクルーターになったらSNSを利用したヘッドハントは間違いなくやりますが、やり方が良くない人が多すぎます。
例えばこのような例が散見されます。

  1. スパム的に不特定多数にヘッドハントメッセージを送る
    とにかく大勢にテンプレのヘッドハントメッセージを送り、返信してきた人の中にちょうど良い人がいたら採用プロセスを進めるという人がよくいます。例えば、私のLinkedInには”Legal”という文字が入っています。私が法務をしているわけでなく、私が法務のキャリアアドバイスをしているからです。にも関わらず、Legal Directorのようなポジションのヘッドハンドメッセージがよく来ます。このように、ヘッドハントメッセージを受ける = 自分がそのポジションにふさわしいキャリアを持っている、ということではないのですが、中には大手企業からのメッセージに舞い上がり、返信し、来ることのない返事を待ち続けている人もいます。

  2. フォローがいいかげん
    仮にあなたが企業の求める理想の人材であったとしても、いいかげんなリクルーターにあたったばかりにみすみす内定のチャンスを逃してしまうということも考えられます。比較的最近だと、以下のようなケースがあります。

    LinkedIn経由で大手プライベートバンクからヘッドハントメッセージを受ける→返信するも連絡が来ない→諦めていたところに私から同じポジションについて紹介が来る→私を通して応募→無事面接に行く。

    いろいろあり、あとで企業から聞いたのですが、最初にLinkedInでメッセージを送ったリクルーターがこの候補者について忘れていたそうです。こうしたリクルーターのLinkedInアカウントは当人だけで管理しているため、人的ミスが起こりやすいです。このようなケースは珍しくないですし、見えないところで多くの人のチャンスが失われているだろうことは想像に難くありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。企業への応募方法の選択肢が多くなってきている今だからこそ、それぞれのプロコンをよく見て判断する必要があります。転職は人生で何度もするものではないですし、一生自分についてまわるものです。転職のやり方についてよく考えて、自分の得られるチャンスを最大化できるようにしましょう。

参考までに、個人的には可能であれば、知り合い経由での応募、またはエージェント、それが難しい場合は、応募企業のリクルーターで信頼できる人を探し、だめなら最終手段で企業の採用ページから応募します。

何かのお役に立てば幸いです!