【今転職するべき?】コロナ禍での転職活動

転職

「コロナ禍でも転職をするべきか?」とよく聞かれます。
結論から言うと、転職の意思があるのであれば、いつ来るかわからない”アフター コロナ”を待たないで、転職活動を続けるべきです。
とは言え、転職活動をする上で平時とは勝手の異なることも多いので、本日はコロナ禍での転職活動にあたって頭に入れておくべき情報をご紹介します。

コロナ禍での採用状況

業界問わず広く採用に関わる私が仕事を通して調べたデータでは、2020年における採用数は、平時を100%とすると以下の通りです。2月にコロナに対する危機感が高まってから、5月下旬の緊急事態宣言解除までの間ひどく落ち込みましたが、その後ゆっくり回復してきています。


1月    - 80%

2〜5月 - 30〜35% 

6〜9月 - 50〜70%

※対象は、正社員の中途採用のみ、日系55%、外資45%比率。

公式データでは、以下の労働政策研究・研修機構調べのコロナ禍での有効求人倍率がありますが、こちらはパートタイムや新卒の数字が含まれています。調査対象の違いから、若干動きが異なりますので、あなたが既に社会人で、且つ正社員を希望されているのであれば上記の私があげた数字を参考にされるのがベターだと思います。

出典:新型コロナウイルス感染症関連情報: 新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響 国内統計:有効求人倍率
jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c07.html

コロナ禍で狙い目の業界

想像に難くないかと思いますが、採用数はIT系が多く、それにヘルスケア(製薬・医療機器など)が続きます。逆に最も採用数が減少したのは、観光、航空、小売、メーカーです。


出典:令和2年4月13日付 日本経済新聞朝刊

少し前の記事ですが、上記はNEXT100(売上高100億円以下の中堅上場企業)のコロナ禍での時価総額の増加幅ランキングです。やはりITが目立ちます。

しかし、今コロナでITが強いからIT企業に行こう、といった安易な考えは中長期的に見てキャリアにネガティブなインパクトを与える可能性があります。コロナやリーマンショックのような事態は我々に考える機会を与えますが、長期的に見るべき自分のキャリアを有事のバイアスが掛かった判断に頼り切るのは危険です。

リーマンショック時に「金融は虚業だよ」とか「やっぱりモノづくり」だよね、という声をたくさん聞きましたが、今はモノづくりが大きいダメージを受けています。

例えば、今自動車関連業界は低迷していますが、自動運転の実用化などあった場合には一気に盛り返すことも考えられます。
コロナの影響を考慮するのは良いと思いますが、最終的な判断は中長期目線で考えて冷静に下すのがキャリアビルディングに失敗しないコツです。

平時 vs コロナ禍転職活動の違い

以下がコロナ禍と平時における転職活動の比較図です。

コロナ禍 平時
1.採用数 少ない 多い
2.面接スタイル ほとんどがビデオ面接 正当な理由のない場合は基本対面
3.採用ポジションのレベル ジュニア 〜 ミドルレベルが多く、シニア採用が少ない ジュニア〜シニア採用までまんべんなくある
4. 求職者数 変わらない
5. 待遇 変わらない

主に変わるのは、採用数、面接スタイル、採用ポジションのレベルです。順番に解説していきます。

1.採用数

上記コロナ禍での採用状況でも述べたように、回復してきているとは言え、平時に比べて採用数が少なめです。その代わりコロナ禍でも人材に投資したいと思っている企業が多くなるので、基本的に求人の質は高めになっています。

2.面接スタイル

去年の時点でもビデオ面接を取り入れる企業が増加傾向にありましたが、今はほとんどの企業(古い体質の企業等を除く)がビデオ面接を採用しています。ビデオ面接と対面面接では想像以上に相手に与える印象が違うので、対策が必要です。

私が求職者の方にビデオ面接対策でお勧めしているリンクはこちらです。
https://toyokeizai.net/articles/-/344136

また、ビデオ面接で選考がすべて終わったとしても、できるだけ入社を決める前に自分の上司となる人に直接会ってみることをお勧めします。対面だと良くも悪くもビデオ面接と印象が違うことがあります。これから毎日仕事をすることになる相手なので、やれることはやってできるだけリスクを避けるべきです。

3.採用ポジションのレベル

ジュニアとかシニアというのは、年齢ではなく、ポジションの職位(Seniority)です。コロナ禍になって、シニア(部長相当以上)の採用が減りました。シニアレベルのポジションはほとんどがリプレイスメント採用です。現在シニアポジションにいる人の転職先が減り、結果現職に残る人が増えたため、シニアなポジションの採用がオープンになる機会が少なくなりました。また、もう一つの理由として、ヘッドカウントの取得が難しくなったことが挙げられます。シニアなポジションであればあるほど、決済者もシニアになり、人数も増える傾向があります。これは採用に対してより慎重なるということなので、先の見えにくいコロナ禍では部長が辞めたとしても必ずしもリプレイスメント採用をするとは限りません。

4.求職者数

意外にも平時とあまり変わりません。コロナを理由に転職活動を一旦止める方が若干いるものの、かなり少数派です。

5.待遇

内定が出た時の待遇は平時と変わりません。買い叩かれるということは稀です。
※パフォーマンスボーナスの金額には影響が出る場合があります。

コロナ禍の転職活動で気をつけるべきこと

コロナバブルの企業には注意する

巣篭もり需要の追い風にある企業や業界に応募する際には、その勢いが一過性のものである可能性も考慮しましょう。ゲームやEC業界などがこのまま好景気を享受する保証はどこにもありません。

面接の形式が違う

前述しましたが、現在は多くの企業がビデオ面接を採用しています。2.面接スタイルでも述べたように対策が対面面接と異なります。

入社後に関係性を構築するのに勝手が違う

後述しますが、まだリモートワークを継続している企業が多く、私が紹介しているポジションも半数くらいはフルリモートです。このため、入社後の関係構築やトレーニングなどが平時のそれと異なります。詳しくは、コロナ禍での入社を参考にしてください。

悪徳エージェントに注意

自分の業界の恥を晒すことになってしまいますが、コロナが原因で売り上げが立たず、求職者を騙してでも、入社してもらおうとするエージェントが平時に比べて目立ちます。
リクルートメント業界(いわゆるエージェント)はコロナで大きい打撃を受けた業界の一つです。このことに留意し、リクルーターを利用してください。

コロナ禍での入社

今転職すると、入社後トレーニング(研修)や、人間関係の構築をリモートワークでやることになる可能性が高いです。転職前にこの2点について覚悟しておく必要があります。

リモートワーク下での入社後トレーニング

Zoomなどを利用してのトレーニングは、受ける側だけでなく、教える側も慣れていないため、平時のトレーニングより効率が悪い場合が多いです。また対面と比べ、双方向のコミュニケーションが減るというデータもあるため、より意識して積極的にトレーニングに参加していく必要があります。

非対面での人間関係構築

新しい会社に入ったら自分のチームに限らず社内の様々な人との関係を構築する必要があります。たまたますれ違った時に少し話したり、ランチなどで相手がリラックスしている時に距離を縮めたりということができないリモートワークでは、平時以上にステークホルダーとの関係をつくる工夫が必要になります。

なぜコロナ禍でも転職活動を続けるべきか

平均的に質の高い求人の比率が高くなるため、選択肢から外れが減っている

以下が理由です。

  • コロナ禍でも採用できる体力を持つ企業である(一時的なコロナバブル下にある企業もあり)
  • コロナ禍でも採用したい重要なポジションである

中途の転職において、良いポジションは一期一会であることが多い

あなたにとって一番良いポジションの内定を得るのが転職活動の目標です。そういったポジションは、必ずしも一番選択肢が多い時にあるとは限りません。
リプレイスメントや、新事業など、なんらかの理由で出てきたポジションがあなたの理想に合致する可能性は十分に考えられます。このため、コロナ禍であってもアンテナを張り続けるべきです。

転職活動を続けるべきというのは今がチャンス!ということではなく、敢えて現在の状況を理由に止める必要はないということです。今回の記事で述べたようにプロコンあるため、平時よりも悪い転職市場と見るのは間違いで、平時とは異なる転職市場と見るのが正解だと思います。

今回の記事があなたのキャリアビルディングの参考になれば幸いです。