【転職の新しい常識】リファレンスチェックにまつわる疑問と悩みを解決
バックグラウンドチェックについて解説した前回記事「【外資だけじゃない】転職時のバックグラウンドチェックとは?」に続いて、今回は、「リファレンスチェック」について集中的に解説していきます。
バックグラウンドチェックと、リファレンスチェックは、混同して使われることも多いですが、基本的には以下のようなたてつけです。
バックグラウンドチェック
既に述べたような経歴、犯罪歴、反社チェックなどを網羅的に行う。リファレンスチェックも含めてバックグラウンドチェックと呼ぶこともある。
リファレンスチェック
あなたの過去の上司、同僚などに話を聞くことを中心に行う。
経歴、犯罪歴などのチェックは、同意してしまえばあとはこちらでやることはありませんが、リファレンスチェックは「自分について話してくれる人」を自ら推薦する必要があるため、初めてリファレンスチェックを受ける人は困惑することがよくあります。
前置きが長くなりましたが、今回はリファレンスチェックの流れ、必要な対応、よくある質問への解説をしていきます。
私自身、リファラル(転職者についての質問に答える人)になることも、企業から依頼され、リファレンスチェックの実施者になることもあるため、他多角的に説明ができるかと思います。
読み終わったころには、あなたはもうリファレンスチェックで心配することはなくなっていることでしょう。
- リファレンスチェック
- リファレンスチェックの流れ
- リファレンスチェックに関するよくある質問
- まとめ
リファラルは誰にするか
リファラルはどこまで認められるか
リファラルへのお願いの仕方
リファラルにされる質問内容
リファレンスチェック
リファレンスチェックは、前述の通り、あなたと一緒に働いたことのある人に話を聞く形で行われます。
犯罪歴まで見る包括的なバックグラウンドチェックと比べて非常に導入しやすいことから、外資のみならず、多くの日系企業でも実施されています。
実施者は、外部ベンダー、採用企業、転職エージェントのいずれかであることが一般的で、私もよくチェック実施の依頼を受けています。
実施タイミングは、最終面接合格〜内定間が最も多いものの、企業によっては、選考の早い段階で実施されることもあります。
リファレンスチェックの流れ
- リファラルの決定
- リファラルの連絡先の提出
- 結果を受ける
1.リファラルの決定
選考中の企業から、リファラルの決定を求められます。多くの場合は2名選ぶことを求められます。
あなたの仕事ぶりを知っていて、かつ良い印象を持っているであろう人を選んだら、リファラルにリファレンスチェックに協力してもらいたい旨、連絡します。
2.リファラルの連絡先の提出
リファラルからの承諾を得て、連絡先を企業に提出したら、リファレンスチェックが終わるまで待ちます。
※リファレンスチェック実施者は、電話、メールなどでコンタクトを取ります。
3.結果を受ける
あとは結果を受けるだけです。
リファレンスチェックに関するよくある質問
ここからは、リファレンスチェックに関して私がよく受ける質問について回答していきます。
リファラルは誰にするか
リファラルとして、の適任度は、以下の順番になります。
現職上司 -> 前職上司 -> 現職先輩 -> 前職先輩 -> …
*現職の同僚へのリファレンスチェックを求められることはまずありません。
基本的な考え方は、どれだけあなたの直近の仕事ぶり、勤務態度、強み・弱み、人柄がわかるかなので、現職 > 前職(前の会社になるほど適任度は落ちていきます)、上司 > 先輩 > チームメイト (同じ職位・レベルの)> 後輩 > チーム外の会社の同僚となります。
ただし、チームが縦割りで、チームメイトとの交流がほとんどない場合などは、部門外でもあなたの仕事ぶりをよく見ている人(例えば、あなたが法務で、あなたによく仕事を依頼していた営業部の人など)の方が適任であるケースもあります。
また、意外と見落としがちなのは既に退職した元同僚です。あなたと一緒に働いたことのある人であれば、当時の会社に在籍していない人でも問題ありません。
リファラルはどこまで認められるか
ここまで読んで、気になるのは、どこまでがリファラルとして認められるかではないでしょうか。
例えば、30年前の上司はリファラルとして認められるのか、数回しか話したことのない人は認められるのか、などです。
具体的な線を引くことは難しいですが、通例、かなり広い範囲が認められます。実際に過去にあった例ですと、「取引先の人」や「月に数回軽いやりとりがあるだけの他部署の人」などがあり、どちらも企業にリファラルとして認められていました。
ただし、こうした例が認められるのは、納得のいく説明ができる場合に限ります。例えば転職をあまりしたことがなく、上司もずっと変わっていなかった場合などは、現職の上司にあなたの転職活動をバラすわけにはいかないので、「代替案」が認められやすくなります。
いずれにしても、まずは、「できるだけ最近一緒に働き、自分の仕事ぶりを見ていた近しい人」から探し始める努力をしましょう。できなかった場合に相談しても遅くありません。
リファラルへのお願いの仕方
リファレンスチェックに馴染みのない人にリファラルになってもらうお願いをするのは気が重いでしょう。特に私が担当する弁護士の転職者の方たちは、ここで悩まれることが多いです。
日本では、まだリファレンスチェックが浸透していないため、まずは、リファレンスチェックに対する抵抗感を下げてもらい、「今や転職プロセスで普通のこと」と理解してもらうことが重要です。
実際に、私の紹介先であるハイクラス採用をしている会社は、肌感外資で8割、日系で5割程度の会社でリファレンスチェックをしています。そして、リファレンスチェック導入企業は今も増え続けています。
リファレンスチェックが、これだけ「普通のことになりつつある」という説明だけでもリファラル側の抵抗感はかなり軽減できるのではないでしょうか。
次に、リファラル側になにもリスクがない点についても言及すべきです。海の物とも山の物ともつかないものを恐れるのは当然で、リファレンスチェックで話したことによって自分が不利益を被る可能性を不安視している方は少なくありません。実際に、私がチェック担当をする際には、リファラルになることのリスクについて質問を受けることがあります。
リファラルとして質問に回答することのリスクは皆無で、リファラルの氏名や話した内容などについては、飽くまでも選考の目的で使われるに留まります。別目的で使われることはないという説明をして、リファラルに安心してもらうことが重要です。
上記二点を押さえてしまえば、あとは、礼儀正しくお願いすることで快く受けてもらえることが大半だと思います。
リファラルにされる質問内容
最後に、リファレンスチェックで聞かれる内容です。会社やチェック者によって多少異なりますが、概ね以下のような質問が予想されます。
- 〇〇さん(あなた)とはどちらの会社でご一緒でしたか?
- 〇〇さんとはどの期間に一緒に働かれていましたか?
- ◇◇社(一緒に勤務していた会社)では〇〇さんとはどのような関係でしたか?
- 〇〇さんの仕事ぶりをどのように評価されますか?
- 〇〇さんのお人柄について教えてください。
- 〇〇さんがお仕事で達成したことについて何かご存知ですか?
- 〇〇さんの強みはなんですか?
- 〇〇さんが今後成長するにはどのような分野を伸ばすとよいと思いますか?
- 〇〇さんの能力を活かすには、どのようなマネージメントをすると良いと思いますか?
なんとなく、感覚をつかめたでしょうか。あなたとリファラルの関係性によっては、別の質問を聞くケースもありますが、回答が難しいようなことはまず聞かれません。
まとめ
意外と構える方の多い、リファレンスチェックについての解説でした。
二大心配要因は、「チェックで落ちないか」と「リファラルの確保」です。
前者については、リファレンスチェックで落ちることはまずあり得ないと言ってよいでしょう。ここだけの話、私はリファラルに「佐野さんは気に入らないことがあるとすぐ辞める人です」と言われたことがありますが、大丈夫でした。(笑)私の話ではありませんが、もっとひどい例もたくさん見てきましたが、リファレンスチェックで落ちたという話を聞いたことはありません。
後者のリファラルの確保については、転職回数が少ない(「過去の上司・同僚」が少ない)場合や、周りに理解のある人が少ない場合は少し骨が折れることもあると思います。しかし、少なくとも私がお手伝いしてきたケースでは、当初「ぜったい無理」といっていた転職者の方も含めて、リファラル確保をできなかった人は誰もいません。お願いの仕方、リファラルとして認められる範囲についての採用企業との交渉などを経て、みなさんリファレンスチェックに泣かされずに済んでいます。
どうぞリファレンスチェックを恐れず、安心してご自身の望む会社・ポジションにチャレンジしてください。